さらに昨年2月、シリアに取材に行こうとしたフリーカメラマンの杉本祐一さんのパスポートを外務省が強制返納させた事件についても手厳しい。
「本件について外務省と意見交換しました。パスポートを取り上げるという処置は、ジャーナリストに適用すべきではないと指摘しました。自らリスクを負い、紛争地で取材しようというジャーナリストがいるならば、彼らが自由に取材できるようにすべきです」(同)
パスポート強制返納事件については、福島瑞穂参議院議員の調査により、首相官邸が外務省領事局に命じて強制返納させたことが明らかになっている。「ジャーナリストの後藤健二さんらがIS(いわゆる「イスラム国」)に誘拐・殺害された事件への対応で批判された安倍政権が、新たに日本人記者が拘束されるのを恐れ、前代未聞の処置に踏み切ったのではないか」。杉本さんやその代理人の弁護士らはそう疑っている。
自民党改憲案は、報道の自由や市民運動を弾圧するもの!?
報道陣の取材に答えるケイ教授
この夏に行われる参院選で大勝できれば、安倍政権は改憲を目指すとしているが、自民党の改憲草案にもケイ教授の厳しい視線が向けられた。
「自民党の改憲草案では、表現の自由を保障する憲法21条に『公益を害するものでなければ』という文言を追加すると聞いています。それは、日本が批准した『市民的および政治的権利の国際規約第19条』とも矛盾することになります。同規約19条は、政府が市民の政治的権利を制約することに、大変厳しいものです。憲法21条が改悪されると、市民運動への弾圧もより強力になるのでは……と懸念しています」