結局、イオングループはオムニチャネル化するにしてもスーパーの商品力に頼るしかない。そこで、近年イオンではイギリスの高級スーパー「ウェイトローズ」、フランスの大手スーパー「カルフール」のプライベートブランド商品や、フランスの高級冷凍食品ブランド「ピカール」などといった海外の個性的な食品ブランド商品を日本で独占的に販売する権利を得て、一部の店舗やECサイトで試験的に販売を行うなど「他スーパーとの差別化」と「商品力の向上」にも努めている。
一方、「総合スーパー」の核である食品以外の分野における改革としてイオンが2010年より一部のショッピングセンターで展開している新業態のカジュアル雑貨専門店「R.O.U」、「F.T」は、他の専門店との差別化を図るまでには至っておらず、現在も試行錯誤が続いているのが現状だ。
イオンが展開する雑貨店「R.O.U」。一部は系列外の商業施設にも出店する
今後「イオンの東京旗艦店」として位置づけられるであろう新生・碑文谷店においても、こういったこだわりの海外食品の販売実施や、地域の実情に合わせた新業態の実験的な売場の導入が予想される。
「ダイエー」、「マイカル」、「ヤオハン」など、かつての総合スーパー業界の雄であった様々な企業を吸収することで成長を続けてきたイオン。
新たな碑文谷店を「東京のイオン旗艦店」として育てていくべく、これまでの「スタイルストア」における取り組みをより深化させ、新時代の「総合スーパー」の象徴となるような、またイオンでは数少ない都市型商業施設として、他の大手ディベロッパーにも負けないような「魅力的かつ個性的な店づくり」を行うことができるどうかかに注目が集まっている。
再び地域に親しまれる「新時代のスーパー」となれるのか、注目が集まる
<取材・文・写真/都市商業研究所>
【都市商業研究所】
若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「
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