豊富な地下水を放棄、小川をせき止めてムリヤリ建設!?「南摩ダム」
栃木県鹿沼市南摩町の源流から「南摩(なんま)川」という、人が一跨ぎできるほどのチョロチョロとした水量の川が続いている。そこからわずか4km下流に堤体を造る「南摩ダム」計画の検証が現在進行中だ。
その水流があまりにも少ないので、1969年の計画当初は利根川の支流「思(おもい)川」に流れ込む「大谷(だいや)川」、「大芦(おおあし)川」、「黒川」を導水路でつないで水を貯めるという大がかりなものだった。
この「思川開発事業」は独立行政法人水資源機構の計画で、2000年に変更されていた。大谷川の取水について、当時の福田昭夫・今市市長(現・衆議院議員)が4年をかけて調査報告書をまとめ、「計画された頃とは時代が変わり、もう大谷川から水を取らなくても下流域の水需要は大丈夫だ」として中止を求め、ダムの総貯水量が半分に縮小されたのだ。
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さらに、「民主党政権下で2010年に始まったダム検証では、栃木県には水道事業の計画がなかったため、2012年6月で南摩ダム計画は止まっていた」と水源開発問題全国連絡会の嶋津暉之共同代表は語る。
「理由は簡単で、栃木県南部は地下水が豊富なのです」
利水事業については、水道法に基づく「水道事業の許可」を得ていることの確認が必要であり、それは国交省自らが作った検証方法。本来なら、水道事業の計画がない時点でこの事業は必要がないはず。ところが栃木県は「栃木県南地域における水道水源確保に関する検討」報告書を国土交通省に提出。3年半を経て2015年11月9日、ダム検証は再び前へ進み始めた。
そこには、ダムを必要とする根拠がこう書かれていた。
「県南地域において、将来にわたり安全な水道水の安定供給を確保するため、現状で100%地下水に依存している市町を含め、水源の表流水への一部転換をする」
水道事業の計画なく「止まっていた」はずのダムが再び動き出す
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