4月30日、「思川開発事業と栃木市の水道水を考える会」が集会を開開催、ダム計画への疑問が噴出した
4月30日、栃木市では「マズくて高い水はゴメンだ!」をテーマに市民集会が開催され、元栃木県職員の早乙女正次さんは「地下水から河川水へ転換すれば水道料金が高くなり、味も落ちる。使い道のない余った水は宙に浮くが、負担金やダムの維持管理費は払わねばならない」と発言した。
また「思川開発事業を考える流域の会」の高橋比呂志事務局長は、「各市町の人口や給水量の推計と実績は“ワニの口”のように広がるばかりだ」と報告。同会の伊藤武晴さんは「安くて美味しい水を飲める生活は魅力的。私たちは自然の恵みを受ける権利がある」と訴えた。
会場からは、「なぜこんな無駄な事業が止まらないのか」との質問が飛びだし、これに対して先述の嶋津氏は「天下りによる利権構造ではないか」と回答した。
事業者である水資源機構の現理事長・甲村謙友氏は元国土交通省技監、副理事長の佐藤具揮氏は農林水産省農村振興局からの天下り。理事(全5人)のうち2人も元官僚である。7人の役員のうち、4人が天下りなのだ。
甲村理事長だけではなく、同機構の歴代トップは全員が元河川官僚。前理事長の青山俊樹氏も元河川局長、前々理事長の近藤徹氏も元河川局長で、関連法人への天下りと渡りを繰り返してきた。その一つは公益社団法人「土木学会」で、今までに誕生した102人の土木学会会長のうち35人が、内務省(後の建設省、国土交通省)の元幹部だ。
「美味しくて安全な地下水が豊富にあるのに、なぜ国民は税金を余分に遣ったダムの水を飲まされるのか。石井啓一・国土交通大臣は本当に南摩ダムが必要なのかどうか、自分の頭で判断をすべきです」(伊藤さん)
<取材・文・写真/まさのあつこ>