プルアップをする松下氏(詳細な解説は最終ページ)
「このトレーニング手法は筋肉増量に向いていません。そして、回数繰り返すのがポイントでもありません。ただ、1回の動きを洗練して『練習』していく、つまり動きのスキルを磨いていくのです。どこで力を使いどのタイミングで脱力するかなどを体で習得します。繰り返しますが、疲労に追い込むとこの手法は必ず失敗します。回数を1回~5回に抑えてください」
松下氏の経験上、GTGが最も効果的だったのがプルアップ、つまり順手懸垂だったという。
「当時の課題が24キロケトルベルをつま先に引っ掛けて1回プルアップを行う、しかしそれまで私は自重プルアップが1回しかできなかったのです。これを半年かけて達成しました。当時のGTGトレーニング記録の例は次のような感じになります。疲労度に応じてつま先にケトルベルを引っ掛けたプルアップと通常のプルアップを行いました。この例は24キロプルアップ試験1ヶ月前のトレーニングですが、開始当初はゴムバンドや踏み台を利用した補助プルアップをしていました」
1日通して行うのがGTGだが、懸垂できる器具や設備がない、仕事場で懸垂できないといった不便な点がある人もいるだろう。
「であれば在宅中に朝10分置きに数セット、夕方~夜に10分置きに数セットやりましょう。自宅の懸垂台前を通過したら1セット、タブレットのアラームを幾つか不定期に設定して鳴ったら1セット、犬が吠えたら1セット等遊び要素を入れても良いと思います。ケトルベルや懸垂台がなくても、片手腕立て伏せなど、自重でできる種目は多々あります。環境や条件に合わせて選んでください」
さまざまな場所でケトルベルを教え、格闘技ジムのインストラクターもしている松下氏だが、フィットネスジムのメンバーになったことがないという。
「だからこそ、トレーニングを自宅での日常生活に取り入れることができたのです。懸垂台とケトルベル、そして1畳分の床があれば無限の可能性が開けます。『ジムに通えない』『忙しいからトレーニングできない』ではなく、できること、できる時間帯をまず探してください」