世界全体の風力発電、太陽光発電、原子力発電の導入量の推移(出典:GWEC、IRENA、IAEA等のデータからISEPが作成)。1GW = 100万kW
一方、日本はどうだろうか。来年4月に見込まれる改正FIT法施行で、主に大規模太陽光を対象に発電した電気の買い取り価格を入札で決める制度が盛り込まれた。
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ISEPでは「入札制度は地域エネルギー事業を潰してしまう。導入量全体の枠が決められ、導入が進まなくなる恐れもあります。そもそも太陽光発電の買い取り価格を、小規模事業者と大規模事業者で同一にしていることが問題です」と警鐘を鳴らしている。
さらに原発のフル稼働を前提に、太陽光と風力の実質的上限となる「接続可能量」の設定や、送電網への接続費用を発電事業者が負担する仕組みなどの“逆風”が存在。「いわば自然エネルギー事業者、特に規模の小さいご当地電力にとっては、踏んだり蹴ったり」(松原さん)の状態が続いているという。
2015年12月に合意した気候変動対策の新たな枠組みである「パリ協定」では、「地球の気温上昇を2℃以内にとどめるには、今世紀後半で温暖化ガスの人為的排出をゼロにする必要がある」とする。
今回のIEAの報告は、気候変動対策に自然エネルギーが大きく貢献することを示唆している。しかし日本は、それとは別の方向を向いているのだろうか。<取材・文/斉藤円華>