「UNEPなどが調べた2015年の世界の各エネルギー源への投資額は、大規模水力を除く自然エネルギーが2860億ドル、火力が1300億ドル、原子力が200億ドル、大規模水力が430億ドルでした」と指摘するのは、ISEP(NPO環境エネルギー政策研究所)主席研究員の松原弘直さんだ。
投資額では、大規模水力を除いても自然エネルギーが原発の14倍以上に達しており、完全に水を開けられている。2015年までの累積導入量でも、原子力の3億8300万キロワットに対して風力が4億3000万キロワットに達し、追い抜いている(図)。
「原発は一見すると少しずつ増えているように見えますが、廃炉になるものを含めれば横ばいか減少傾向にあります。その中で、中国で若干の新規導入があるという程度です。ところがその中国では自然エネルギーも急速に増えている。2015年の風力の年間導入量が3000万キロワットで、世界全体の半分という大規模なもの。中国はCO2の排出が世界一であるとともに、風力発電の累積導入量も世界一なんです」(松原さん)
その中国も、CO2の排出は前年よりも1.5%減らした。自然エネルギーの増加はもちろん、火力発電の脱石炭化もそれに貢献しているのだ。