ギリシャのユーロ離脱「Grexit」は起こり得るのか? 米独ロの駆け引きがカギ

Grexit、それはギリシャと中ロの接近を意味する

 何故、メルケルはGrexitを望まないのか? その理由はギリシャがロシアの勢力圏に入ることを極力避けることを考えているからである。米国がギリシャをNATOに加盟させたのはドイツよりも前の1952年である。当時のヨーロッパではギリシャの隣国ブルガリアまでソ連の勢力下にあった。西欧側にとってソ連を牽制するにはギリシャが最後に残された砦のようなものであった。また宗教面において、ギリシャはギリシャ正教会そしてロシアはロシア正教会と双方が親戚のようなもの。その影響もあって、ギリシャ人の間ではロシアへの接近には抵抗ないことを表明する国民は多くいる。  しかも軍事面において、ロシアのミサイルシステムS-300を備えているのはNATOの中で唯一ギリシャだけである。これは90年代のもので、昨年ギリシャは新しいS-300の購入の交渉を開始している。特に、シリザ政権の閣僚メンバーの中には共産主義出身者もいてロシアとの接触は容易になっている。  即ち、ユーロ圏がギリシャをEU内に繋いでおくたずなを放せば、ギリシャの向かう先はロシアになる可能性は決して低くないのである。さらに、EUにとって問題になりそうなのはギリシャの最大港ピレス港が中国の運営になったことである。中国は海上シルクロードの終点をピレス港と決めており、そしてピレス港をハブ港とさせて地中海のでの中国の勢力拡大を狙っている。  米国にとってギリシャがロシア圏に入ることは絶対に容認できないことで、米国が頼りにしているドイツのメルケル首相はギリシャがロシアになびくことは許されないのである。ギリシャはこれからもユーロ圏に留まる道をメルケル首相は模索して行くはずだ。仮にGrexitが起きてもそれは一時的な離脱という形にするはずである。 <文/白石和幸 photo by Lefteris Heretakis on flickr(CC BY 2.0) >
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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