1バレル=20ドル台へ!? 超ハイボラの原油は「売り」で勝負!

買い越しが続き上値は重い

「3月の上昇はカレンダー要因も大きそう。期末なのでショートカバー(売り手の買い戻し)が入ったのです」  と分析するのは自身も原油トレーダーであり、コモディティ事情に精通するフリーアナウンサーの大橋ひろこ氏。 「先物市場のポジション状況を見ると、実は’08年からずっと買い越しが続いています。26ドルをつける過程で、買いポジションは減りましたが、3月に入って買い手はまた増えています。含み損を抱えた買いポジションがまだ大量に残っているため、上昇しても買い手の『やれやれ売り』が出て上値は重そう」  実はほかにも上値が重たいと考えられる理由がある。 「原油のような先物市場では『サヤ』も大切。先物では限月といって取引の期限があります。限月が近い期近の価格と限月が先の期先の価格の差です。期先の価格のほうが高い『コンタンゴ』(順ザヤ)だと価格は上がりにくく、反対に期先のほうが安い『バックワーデーション』(逆ザヤ)は『逆ザヤに売りなし』と言われるくらいで下がりにくい」(大橋氏)  足もとだと期近が39ドル。いちばん限月が遠い2024年12月物は51ドルで、完全なコンタンゴ。 「今買って寝かせておいて、将来売れば儲かる」との思惑から潜在的な売り圧力が働いて、価格は上がりにくくなっている。実際に世界の石油タンクやタンカーは9割以上が稼働済みとの情報も。 「ということは、サヤから見ても原油は上がりにくいですよね。需給を見てもIEA(国際エネルギー機関)は日量100万バレル以上の供給過剰だと指摘していますし、ゴールドマンサックスに至ってはレポートで20ドル割れの予測を出しています」(同)  だとすれば、40ドル前後まで戻している今は格好の売り時と言えそうだ。 「実は僕もそう思って38ドルで売ってみたんですが、思ったよりも戻りが強い。週足のレジスタンスラインとなっている50ドル弱の水準までの戻りを想定して売り上がっていく戦略に転換しました。というのも、一般にアメリカのシェールオイルの生産コストが50~60ドルと言われています。シェールオイルが勢いづいてしまうのを避けるために、このラインに近づいたらOPEC(石油輸出国機構)が対策を打ってくると考えられる」(ひろぴー氏)  売り時のタイミングを計るテクニカル分析もある。 「僕が売り時の目安にしているのはMACDの『ダイバージェンス』。高値を更新していれば通常、MACDも水準を切り上げるのですが、まれにMACDは切り下げていることがある。これがダイバージェンス。トレンド反転の兆しなので、日足や4時間足のMACDでダイバージェンスが出たら、売りです」(同)  ひろぴー氏が昨年末、原油を売って数十万円を稼いだときに頼ったのもダイバージェンスだった。 「日足のMACDでダイバージェンスが出たのを見て売ったんです。ただ、原油はボラが大きい点に注意。少しずつ売っていくほうがいい。僕も年末、37ドルから40ドルまで少しずつ売っていきましたから」(同) ⇒【資料】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=89771
原油相場

下落トレンドが継続している原油相場だが、CFTC(米先物取引委員会)の公表データによると、一貫して買い越しが続いていた

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