アルゼンチンの外交の巧妙さに軍配が上がったのであるが、それによって関わりが出て来るのが海底に埋蔵されている地下資源の開発である。
既に、英国はフォークランドの近海で原油と天然ガスの採油を展開している。アルゼンチンはその区域はアルゼンチンの領海であり、また環境汚染に繋がるとして採油の中止を英国の石油企業に訴えて来た。今回の同委員会の決定によって、アルゼンチンは更に自国の主張を強めることになるのは必至だ。
日本もこの大陸棚の350マイルまでの延伸規定をもとに日本の最南端の沖ノ鳥島からの領域拡張を主張している。アルゼンチンが、あらゆる場を利用して国際舞台の場で自国の領域だと訴えて来た姿勢には学ぶべきものが多いだろう。
<文/白石和幸 photo by
Liam Quinn on flickr (CC BY-SA 2.0) >
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。