北海道新幹線が開業早々閑古鳥。不安視されるJR北海道の先行き

じわじわ首を締められるJR北海道

 北海道新幹線開業新函館北斗~札幌間はすでに工事が進められており、開業は15年後の2031年度の予定。ただ、「前倒しして2031年になった経緯もあるが、長大トンネルの続く区間でもあり、予想通りに進むとは考えにくい」(札幌市関係者)という声もあるなど、工期が長引く可能性も否定できない。そうなれば、工費がかさむだけでなく、JR北海道の赤字も積み上がっていくことになる。 「JR北海道への経営支援について、北海道は消極的な姿勢です。いわば、経営面などでは民間企業扱いし、交通機関としては公共性を求める。大赤字を垂れ流している在来線の維持も『やって当然』と言わんばかりです。そして、一方で道は鉄道に並行する高規格道路の建設を進めていく。さらにJR北海道の経営のクビをしめているんです。もちろん沿線の自治体に支援するほどの体力はありません」(前出の専門誌記者)  北海道新幹線が札幌まで延伸すれば、今と比べれば遥かに大きな経済効果も見込まれるし、利用者も大きく増加するだろう。ただ、一方で延伸開業予定の2031年度までJR北海道が生き残れる道筋は不透明だ。道の支援も得られず、沿線自治体も過疎化が進む一方となれば、国が全面的な支援を行うしか手段はない。  JR東日本との合併を提案する専門家の声もあるが、年間100億円規模で赤字を垂れ流す企業との合併は、JR東日本の株主が認めるはずもなく、非現実的だ。  札幌延伸の2031年度、果たしてJR北海道は存在しているのか。それもこれも、今回開業した北海道新幹線新青森~新函館北斗間に、多くの利用客が集まるか否かにかかっているいうことなのかもしれない。 <取材・文/境正雄 photo byウツダー on フォト蔵(CC BY 2.1 JP)>
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