砂問題で難航中のサウジ高速鉄道。建設を請け負うスペインのコンソーシアムは内部分裂状態に

最初からハリボテだったコンソーシアム

 そもそも、スペインの12社から成るコンソーシアムは、その組織について当初から問題が指摘されていた。  というのも、コンソーシアムを構成する企業は公営、半官半民、民間が一緒になっての構成であるから企業意識は異なる。しかも企業の規模は大企業から中堅企業まである。要するに、一丸となって取り組める組織体制になっていないということだ。『El Confidencial』電子紙のラファエル・メンデス記者はこのコンソーシアムの企業構成を見て〈「これは12社が集まっての正にフラケンシュタインだ」〉と記事の中で指摘している。  そもそも、スペイン人が2人集まると3つの意見が生まれると言われるくらいスペイン人をひとつの方向に一致団結させることなど困難である。  だからスペインで事が上手く運ぶには上から命令する独裁者が必要なのだとさえ言われている。この12社から成るコンソーシアムにはリーダが不在だと当初から言われていたという。独裁的に命令出来る人物がいないのだ。  発注側のサウジの方でもスペインのコンソーシアムの頭が見えないことに不満を伝えていたという。2014年のクリスマスシーズン中にサウジ側は工事の遅れとコンソーシアムのリーダーの不在に不満が爆発。契約を解除する用意があるとコンソーシアムに伝えて来たのだ。  そこで、スペイン政府がリーダーに任命した人物がコンソーシアムをいっそう酷い有様にした。
次のページ
ライバル会社トップがリーダーになり不協和音が加速
1
2
3
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会