しかし果たして、銀座は「中国人観光客」ばかりなのか?
まず、筆者は現場に行ってみた。
銀座に着くと、まず最初に目に入ったのは、松屋の催事ポスターは簡体字ではなく繁体字で表記されていたことだ。むろん、簡体字バージョンもあるのかもしれない。大陸中国のお客さんだけに頼っているのだとすれば、わざわざ繁体字を用意する必要もなかろう。この松屋のポスターだけでなく、ほとんどの店では、簡体字だけでなく、繁体字と英語の3つが併記されている。書かれているものだけを見れば、総じて、大陸中国のお客さんだけに頼っているとは思えない。
和光の前から新橋に向けてくねくね歩いた最中、二度ほど、道を尋ねられた。一組はヒジャブをかぶった女性を含んだ家族連れ。もう一組は「幸せ」という概念を擬人化したようなラテンアメリカ系のカップルだ。両方とも英語で話しかけてくる。聞いてみると、ヒジャブをかぶった女性を含んだ家族連れは、マレーシアからきたそうな。ラテン系のカップルはブラジルからだった。案の定、新婚さんであった。改めて街を見てみると、ヒジャブをかぶった女性がたくさんいることに気づいた。
もちろん、明らかに大陸中国から来たという人たちもいた。簡体字で書かれたガイドブックを持っているのだから間違いないだろう。だが、「銀座にいる外国人のほとんどが大陸中国からの人たちだ」とは言い切れないだろう。なにせ見た目でどの国の人なのかなど言い切れるものではない。「中国人が目障り」と何を根拠に言えるのか。