まるで日本会議の改憲決起集会だった今年の「建国記念日中央奉祝大会」――シリーズ【草の根保守の蠢動 番外編第7回】

建国を祝うどころか「改憲アピール」ばかりが目立つ

 もとより「建国記念の日奉祝記念行事」は例年行われている。この集会が「政府主催の建国記念の日奉祝式典を求める」との主張を大会アピールとし採択するのも例年の事。  筆者は日本会議を追いかける前から、過去に何度かこの「建国記念の日奉祝中央式典」には参加している。当時は何も知らない純朴な子供のような頭で、「建国記念日を奉祝する愛国者がこんなにたくさんいるのだなぁ。喜ばしい限りだなぁ」と考えていた。  だが、今年は毛色が違う。どうも、余裕がないのだ。何か、ある種の必死ささえ漂っているのだ。  まずは受付。  受付で参加費1000円を払ってまず最初に目にしたのがこの光景。 ⇒【写真】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=82827 改憲署名 ここでも「改憲署名」が集められていた。堂々と「美しい日本の憲法をつくる国民の会」と組織名が大書されたノボリを立てている。しかし「日本の建国を祝う会」が主催するこのイベントの協賛団体や賛助団体の中に、同会の名前はない。協賛団体でも賛助団体でもない組織の署名運動をイベント会場内で許容してるのだから、不思議だ。  署名ブースの隣には、物販コーナーが設けられていた。  もっとも目立つ場所で売られていたのは「女子の集まる憲法おしゃべりカフェ」と「まんが 女子の集まる憲法おしゃべりカフェ」の2冊。物販コーナーも建国記念日そっちのけで、改憲アピール一色だ。 物販コーナー 改憲アピール一色だったのは、物販コーナーだけではない。登壇者の挨拶も、すべて改憲アピールに重点を置いたものだった。  この日、「建国記念の日奉祝中央式典」に登壇した政治家の主な顔ぶれは以下の通り ⇒【写真】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=82830  自民党副総裁の高村正彦の挨拶も「党是である憲法改正について正々堂々と訴え、改正に向け筋道をつける」というもので、次の参院選では改憲がテーマになることを強調した。  中でも強烈だったのは、江口克彦・大阪維新の会国会議員団顧問の挨拶だ。  江口克彦は、挨拶の中で 「わたくしどもは、時代に相応しい憲法を、国民の手で作ることが大切であると考え、党内において、憲法改正の起草作業を進めているところでございます。」 「我々大阪維新の会も、参院選で、憲法改正を掲げて、戦う方針であり、まずは、参議院選挙後の新たな参議院で、改憲勢力として改正の発議に必要な2/3の議席を確保することを目指しております」 「そして、国会による憲法改正案の発議後に、国民投票で過半数を取れるよう、先般、『美しい日本の憲法をつくる国民の会』よりお預かりした、署名用紙を、党所属の国会議員に配布し、国民的議論を巻き起こすべく、全員で署名集めを行っております」 と、大阪維新の会が「改憲」を全面に立てた運動を展開していることを率直に認めた。 「建国記念の日奉祝」などそっちのけである。遮二無二、改憲をアピールしていた。  先述したように、筆者は日本会議を追いかける前から、過去にこの「建国記念の日奉祝中央式典」には参加している。例年、このイベントの司会は、中山直也という人物が務める。彼の流暢な司会ぶりを見るたび「毎年毎年、司会がうまいなぁ」と舌を巻いていた。その頃の記憶をたぐってみても、ここまで「憲法改正」を連呼するようなイベントではなかったはずだ。  登壇する政治家の挨拶も「奉祝のために家々に日の丸を掲げましょう」や「天皇陛下の弥栄を祈念します」などの建国記念日らしい通りいっぺんのものばかり。今年、高村正彦や江口克彦が行ったような、前のめりな改憲アピールがなされた記憶はない。  どうも余裕がないのである。  余裕のなさと言えば、もう一つ、気になった点がある。
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壇上にあった「あの男」の姿
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日本会議の研究

「右傾化」の淵源はどこなのか?「日本会議」とは何なのか?

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