中央線のグリーン車導入で、通勤ラッシュは緩和するのか?
2月4日、JR東日本が中央線にグリーン車を導入すると発表した。JR東日本によれば、対象となるのは現在E233系で運転されている中央快速線と直通運転を行う青梅線の全列車。現状の10両編成からグリーン車2両を連結した12両編成にし、2020年度をめどに開始する計画だという。
中央線は、言うまでもなくJR東日本が運行している路線の中でも屈指の混雑路線。1日1kmあたりの輸送人員では、中央線神田~高尾間は実に66万7820人(2013年度)。これは、埼京線の池袋~赤羽間に次いで多い。朝のラッシュアワーともなると、2分に1本のペースで列車が走り、いずれも超満員。まさに日本を代表する“超過密路線”なのだ。
では、この過密路線でグリーン車サービスが導入されると、どのようなことが期待されるのか。鉄道専門誌の記者は次のように語る。
「ポイントは、現状の10両から2両増やすという点。今まで10両の中に押し込められていた乗客のうち一定数がグリーン車に流れることによって、普通車の混雑も緩和されることが期待されるでしょう。既にグリーン車が導入されている東海道線や湘南新宿ラインに比べると運行区間が短いため、“意味が無い”という意見もあるようですが、朝晩に運行されている全席指定の中央ライナーがほぼ満席状態ということを見れば、需要は十分にあるでしょう」
実際、毎日通勤で中央線を利用しているある会社員も「待ちに待ったニュース」と歓迎する。
「どうしても座りたい時、今までは数少ない中央ライナーの時間に合わせるしかなかった。でも、グリーン車が導入されれば座って帰る機会が増える。2020年度からということですが、もっと早く導入してもらえませんかね(笑)」
どうやら、中央線のグリーン車導入は一定のメリットが期待できそうだ。そもそも、中央線は輸送量が完全に限界に達しており、ピーク時は2分に1本のペースで、新宿駅では2本のホームを同時に使う“相互発着”も実施しているほど。現実的にこれ以上本数を増やして混雑を解消することは難しい。そのため、グリーン車導入によって座りたいという乗客のニーズに答えつつ、混雑を緩和するというのがJR東日本サイドの目的というわけだ。
とは言え、グリーン車導入で一定の混雑緩和が見られたとしても、それだけでは中央線が抱えている本質的な問題の解決にはならないという声も少なくない。
⇒Vol.2「超過密路線の中央線が抱える抜本的な問題とは?」(https://hbol.jp/24753)に続く
<取材・文・写真/境正雄>
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