新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

相手を巻き込むフレーズを織り交ぜる

 日本のビジネスパーソンのモチベーションファクターは、この6つにほぼ均等にわかれるので、自分と同じモチベーションファクターの人は、6人中1人だ。言い換えれば6人中5人、8割超の人は自分とはモチベーションファクターが異なるということになり、相性が合わないということになる。  相性が合わないと諦めていれば、大多数の人を巻き込めないことになってしまう。それでは、モチベーションファクターの異なる人を巻き込むためには、どうすればよいのだろうか。  もっとも簡単で効果のある方法が、相手のモチベーションファクターに関連した内容やフレーズを組み込んで話すという方法だ。何も考えないで話をすると、いつの間にか自分のモチベーションファクターに寄った話をしがちだ。  たとえば、独自の工夫をしながら一人で取り組みたい自律裁量の人は、自分の業務説明をしていても、独創性や個別の取り組みに話が寄りがちだ。自律裁量の人はその話に引き込まれるが、自律裁量の人の割合は6分の1だ。  聞き手が、みんなで一緒に取り組みたい他者協調の人であれば、自律裁量の話はピンとこないということになる。そこで、自分は自律裁量であっても聞き手が他者協調であれば、自分の業務のなかで他者協調の内容をできるだけ盛り込み、連携、協力、チームワークというような他者協調のフレーズをできるだけ組み込む。そうすると、他者協調の聞き手の関心度、集中度が上がり、巻き込みやすくなるのだ。

相手の話や動作を分解しよう

 「相手に合わせた話し方をしよう」ということは、よく言われることだ。周囲の人を巻き込むことに長けている人が実施していることだ。しかし、「相手に合わせた話し方をしよう」と言われていても漠然としていて、具体的に何をどうすればよいか見当がつきにくい。  そこで、自分のモチベーションファクターを見極める、相手のモチベーションファクターを見極める、相手のモチベーションファクターの内容やフレーズを盛り込んで話をする……というように動作や話法を分解して実施すると、スキルを発揮しやすくなるのだ。  年度始から一か月経った今、相性が合いそうもないと思う人が出てきたら、諦める前にぜひ試していただきたい。 【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第239回】 <取材・文/山口博>
(やまぐち・ひろし) モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある
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