ここからは、継続的に観察してきているCOVID-19エピデミックの統計を見て行きます。日本、韓国、台湾の2021/04/06現在の統計を比較して行きましょう。
日本、韓国、台湾、アジア全体における百万人あたりの日毎新規感染者数の推移(ppm, 線形, 7日移動平均)2020/09/01-2021/04/06/OWID
日本と韓国、台湾における100万人あたり日毎新規感染者数の推移(ppm, Raw Data, 線形)2020/09/01-2021/04/06/OWID
アジア全域*は、既に指数関数的増加を示しており、COVID-19パンデミックが過去最悪の状態にあります。しかしそれでも米欧南米に比べると謎々効果のために1/4程度となっています。懸念されるのは、元々アジアは米欧の1/20程度の百万人当たり新規感染者数であったのが現在はその差が小さくなっていることです。
〈*OWIDでアジアとは、トルコ、紅海以東を指し、ロシアは欧州に入る〉
本邦では、都道府県によるエピデミック状況の差が大きいのですが、既に指数関数的増加を示しています。本邦の日毎新規感染者は、4/6時点で21ppm*であり、2020/12/16の水準に相当します。
〈*ppmとはParts Per Million (百万分率)を示し、百万分の1である。「ピーピーエム」と読む〉
韓国は、徐々にベースラインを上げつつもK防疫によって平衡状態を維持してきましたが、先週から今週にかけて
本邦に4週間遅れで増加に転じています。
台湾では、2月来域内感染者はほぼ見られず、空港検疫などで入境者から新規感染者を発見するに留まっており、現時点では
エピデミックは生じていません。
日本の第四波非季節性エピデミックSurgeは、大規模介入必須の状況
次に
日毎新規感染者数の一週間・二週間変化率と
実効再生産数の推移を見ましょう。筆者は、本邦ではよく使われる実効再生産数よりも一週間・二週間変化率を好んで使います。どちらも一長一短ありますので使い分けが大切です。OWIDが、実効再生産数も扱い始めましたので今回から実効再生産数の推移も取り扱います。
日本、韓国における日毎新規感染者数の一週間変化率推移(%)2020/09/01-2021/04/06/+で増加、O%で変化無し、―で減少/OWID
日本、韓国における日毎新規感染者数の二週間変化率推移(%)2020/09/01-2021/04/06/+で増加、O%で変化無し、―で減少/OWID
日本、韓国、台湾、モンゴルにおける実効再生産数(R)の推移2020/09/01-2021/04/06/R>1.0で増加、R=1.0で増減無し、R<1.0で減少/OWID
本邦では、
日毎新規感染者数の一週間変化率、二週間変化率ともに強い増加を示しています。
倍加時間*は19日前後であり、これは
第三波での2020/11/09頃の状態です。2021/04/06時点で倍加時間が1カ月を割っており本邦は、たいへんに危険な状態です。但し、一週間変化率が減少に転じていますので、新規感染者数の増加圧力は一旦ピークアウトしており、増加の勢いは減ずることになります。これは増加が終わるという意味ではありません。日毎新規感染者数の微分係数が減少に転じているという事です。
〈*倍加時間とはウィルス=感染者の数が二倍になるのにかかる時間〉
現在本邦では、主に西日本で二週間先行するB.1.1.7によるエピデミックSurgeと主に東日本で見られるE484K(Eek)を持つ別の変異株によるエピデミックSurgeに分かれています。特に関東を中心とする東日本では、エピデミックSurgeが勢いを増すと考えられる4月上・中旬と新年度開始、新学期が重なっており、これに先行した3/21緊急事態宣言解除の影響が現れる時期も重なるという最悪のタイミングですので、今後大きな増加圧に晒される可能性が懸念されます。
厚労省と感染研によるジャパンオリジナル・国策エセ科学・エセ医療デマゴギーに立脚した「効率追求の(自称)かしこい」検査抑制策が最悪の元凶となり、特に関東を中心とする東日本ではエピデミックの実態が極めて不透明です。
現在、宮城県に見られるようにエピデミック制御に失敗した結果として県独自の緊急事態宣言を発している自治体もあり、その結果は4/4頃には統計に表れるのですが、宮城県では県独自の緊急事態宣言の効果が予想通りの時期に現れています。しかし、一部の県による介入のみで今回のエピデミックを制圧できるかは分かりません。
韓国では、増加率が徐々に増加して危険域に近づいています。このままですとK防疫体制の強化、社会的距離の要求段階の0.5段階引き上げは不可避と考えられます。
台湾でも実効再生産数の上昇などが見られますが、これは空港検疫などの海外からの持ち込みが水際防衛されたもので、
国内は新規感染者数0の日が殆どです。完璧と言えるでしょう。
モンゴルは、東部アジアにおける謎々効果国ですが、
非常に悪い状態です。筆者は、初の謎々効果崩壊事例になる可能性を考え観察中です。
本邦では
政府と「専門家」、「自称専門家」が巧言令色や詭弁、嘘を用いて事態の過小評価や、大失敗の糊塗に勤しんでいますが、数字は正直です。
本邦の第四波非季節性エピデミックSurgeは、大規模介入必須の状況にあります。
次に死亡関連統計を見ましょう。