この点は、SNSを介しての勧誘でも同じだ。最初からカルトであることがわかるような形での勧誘はない。
たとえば、
プロフィール等で「春から○○大生」などと書いているアカウントは、カルトの勧誘に狙われやすい。しかしハッキリそう書いていなくても、たとえば大学の公式アカウントやサークルや新歓団体のアカウントをフォロー、リツートなどしていて、なおかつアカウント作成時期が今年の3月や4月だったりすれば、カルトでなくてもある程度察しがつく。
カルト勧誘をする側の動機は、基本的に宗教的情熱だ。アルバイトや仕事ではないので、必ずしも効率重視ではなく「数撃ちゃ当たる」だったりもする。だからカルト勧誘に狙われやすいプロフィールの書き方を避けても、何かしらの形で所属大学名などがわかるだけで勧誘されるリスクは生まれる。
大学名がわかっていれば、カルト側は、その大学名を冠した偽装サークルを名乗るアカウントなどで接触してくる。最初はリプライでの会話。その後はDMでの会話に誘導し、さらにLINEや携帯電話などでのやり取りに誘導する。
本格な勧誘に移行するのはこの後だ。
SNSで接触した段階でカルト勧誘だと見抜くのは、やはり難しい。
最近、あるニュースサイトで、
大学等の公式アカウントがリツイートしているアカウントかどうかによって、信頼できるアカウントかどうか確かめようといったたぐいのことが書いてあった。しかし、これも
決定的な予防策にはならない。
外見上、
カルトのアカウントは大学側や新歓団体側から見ても、必ずしもカルトかどうか判別できないのだから。大学関連の公式アカウントがそれと知らずにカルトのアカウントをリツイートすることだって、往々にしてあり得る。むしろ、それを見て「カルトのアカウントではない」と安心してしまうことの方が危険だ。
カルト勧誘に接触しないようにする方法はない。初期段階でカルトの勧誘だと見抜くこともできない。そういう前提に立って、自己防衛を考える必要がある。
ならばどうするか。ある程度やり取りして気心が知れたように感じていたとしても、
カルトの勧誘だとわかった時点で情け容赦なく切ることができるかどうか。これにかかっている。
厳密には、カルトかどうかを確かめる必要もない。
勧誘当初の説明と食い違う事実が判明した時点で切ればいい。カルトかどうかわからなくても、ウソをついて勧誘してくるような人間や団体とは関わらないに越したことはない。この発想が重要だ。
連絡があっても返信せず、SNSやLINEならブロック。携帯電話なら着信拒否。それだけでいい。
カルトの側に「さっぱり脈なし」とわからせてやれば、彼らも基本的にムダな深追いはしてこない。容赦なくぶった切ると何か報復をされるのではないかと思うかもしれないが、彼らは特定の個人を狙うストーカーではない。「誰でもいいから勧誘したい」のだ。だから、カルト側に「丁寧に言ってきかせればまだ何とかなるかもしれない」という感触を与えないようにすることがとにかく重要になる。
自力でこういう対応を取りにくいと感じた場合は、大学の学生課やカウンセラーに相談するといい。親や友人でもいい。
第三者と事情を共有することで、自分の判断や感覚が正しいかどうかを確認しやすくなる。カルトの側も、第三者の介入がありうる状況だとわかれば、そう無茶な勧誘はしにくくなる。
効果は未知数だが、何なら「
やや日刊カルト新聞にチクったから、これ以上しつこくするとネタにされるぞ」と言ってもらっても構わない。私が主宰するニュースサイト「
やや日刊カルト新聞」は決して有名ではないが、カルト関係者を取材する際にこの名を告げると嫌な顔で敬遠される程度には、カルト業界での知名度はある。
自力で解決できた場合でも、大学の学生課等への報告はできたらした方がいい。学内にどういう団体の勧誘がどのくらいあるのかを大学側が把握できれば、学生への注意喚起の方法や内容をアップデートできるからだ。