「怪しい勧誘に注意」だけじゃ足りない! 大学・高校でカルト勧誘を断る方法

「怪しい勧誘に注意」と呼びかける大学の立て看板

「怪しい勧誘に注意」と呼びかける大学の立て看板(2019年、東京大学で)

 新入学シーズン。全国の大学では、学生にカルト集団や悪徳商法などへの注意を呼びかける啓発活動が行われる。新入生の皆さんは、「カルトに注意」「怪しい勧誘に注意」といった類いの文書を大学で受け取ったり、ガイダンスを受けたりする場面があることだろう。  とは言え、入学関係の膨大な書類やサークルのチラシを受け取る中で、全て熟読するのも大変だ。いざ怪しげな勧誘を受けた際に、大学から配られた資料をすぐに引っ張り出して読み込めるとも限らない。高校に至っては、カルト勧誘への注意を生徒に呼びかけるのはあまり一般的でもない。  そこで、各大学が呼びかける内容と重複するかもしれないが、カルト勧誘から身を守るための方法をまとめておきたい。

カルト勧誘は通年行事

 「カルト」とは人権侵害を行う集団のことで、宗教団体以外も含む。たとえばマルチ商法、自己啓発セミナー、政治セクトなどもカルトに含めたり、類似の問題として扱ったりする人もいる。  しかしいずれにせよ、自分にとって不利益になる良からぬものからの勧誘に気をつけようという意味では、細かい定義や分類は不要だ。何を「怪しい」と感じるべきなのか、疑問を感じた場合にはどうすればいいのか。それは宗教でもそれ以外の悪徳商法的なものでも、同じだ。  ここでは「カルト問題」として大学が強く意識している宗教団体の事例をもとに説明するが、注意点や対処法の大まかな原則と捉えて、臨機応変に応用してほしい。  まず大前提として注意してほしいのは、カルト勧誘は新歓行事ではなく通年行事だということだ。  多くの大学は新入学シーズンに新入生への注意喚起を行うし、学内のサークル勧誘に混じってカルト団体が新入生を勧誘するということも実際に行われる。しかし同時に、サークル勧誘シーズン以外でも、学内や周辺で学生に声をかけたり戸別訪問で勧誘したりということも行われているし、カルト団体は新入生だけをターゲットにしているわけではない。学年が上がっても、大学院生になってからでも勧誘されることはある。  これからの学校生活の中で常に気をつけるべき問題だということを、しっかり頭に入れておいてほしい。

カルト勧誘は「怪しくない」

 次に重要なのは、「怪しい勧誘に注意」してもカルト勧誘対策にならないという点だ。最初から「怪しい」とわかるなら、誰も引っかからない。  カルトの勧誘は一見するだけでは怪しくは思えなかったりする。多少の違和感があっても、カルト側はその点を深く考えさせないように誘導したり、第三者に相談することを防ぐような誘導をしたりもする。  「怪しくない勧誘」にも気をつけなければ、カルト勧誘から身を守ることはできない。  全国の大学がカルト対策に力を入れるようになったきっかけは2006年。韓国発祥の「摂理」(キリスト教福音宣教会)という団体が、若い女性信者を教祖のハーレムに送り込み教祖が性的暴行等を行っていた問題がメディアで大きく報じられたことだった。摂理は日本の大学でも学生を勧誘しており、日本人信者も被害にあっていた。  摂理が厄介なのは、宗教団体であることを(当然団体名も)隠し、宗教勧誘目的であることも隠して、スポーツサークルなどを偽装するという手法をとことん徹底している点だ。  ある元信者は、大学院生時代にサッカー・サークルの勧誘を受け入会。実際に定期的にサッカーをしていたという。そしてサッカー以外にも、たまり場にしているマンションの一室で食事会が頻繁に開かれ、メンバー同士で演劇鑑賞に行くなど、様々な活動があった。食費が安く上がるので食事会に積極的に参加しているうちに、「聖書の勉強もやっている」と言われた。宗教だとわかって疑問は感じたものの「オウム真理教みたいな危ない宗教ではない」と言われ、すでに親密になり気を許していた相手だったことも手伝って、入信した。 「サッカー・サークルに入ったはずなのに、気がついたら宗教をやっていた」  入り口はサッカー・サークル。怪しくない。  入会すると、実際に皆でサッカーをやっている。怪しくない。  怪しくないまま親密になり、警戒感を抱かせないようにしながら徐々にサッカー以外のことに巻き込んでいって、そして入信させる。  入信してみると、信者たちが勧誘した相手に気づかれないところで「Aさんにどこまで(団体の正体や聖書のことを)話すか」「Bさんは誰がどのようにフォローするか」といった調子の打ち合わせを行っており、集団で計画的に勧誘相手を騙し囲い込んでいく様子も目の当たりにした。サッカーをするときには、すでに信者になっているメンバーだけが先に別の場所で集合し、礼拝を済ませてからサッカーの集合場所に行く。  やがて前述の06年の騒動が起こり、問題を感じて脱会したという。  このケースでは、食事会などが開かれているマンションの一室という活動拠点の存在も「怪しい」かどうかの判断の参考になる。サッカーをするサークルが、なぜマンションを借りる? カネを出している組織がバックにある可能性はないか? サッカーと別の目的があるのではないか?  この疑問だけでは決定打にはならない。しかし誘ってきている相手が優しいだとかいい人たちだとかいう雰囲気だけではなく、活動実態を冷静によく見れば、カルトの勧誘には「後から思えばたしかに変だ」と思えるポイントは何かしらあったりはする。
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