こうした状況下で、国は男性の育児休業義務化を推進している。「育児休業義務化に賛成」と答えた人は全体の53.6%だった。これは、職業、年収、年齢別にみてもそう大差はなく、どの項目においてもおよそ半数は「賛成」と回答している。
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他方、「義務化に反対」「どちらともいえない」と回答した人の理由を見てみると「世帯収入が減るのが心配」が約6割で最も多かった。
また、「赤ちゃんだけでなく、配偶者・パートナーの面倒までみることになりそう」(48.7%)、「家事育児をちゃんとやってくれるか不安」(41.9%)という回答も多く、休暇を取得した父親が育児にきちんと貢献してくれるのか心配している様子が伺えた。
男性の育児休業義務化に対して望む声としては「休みやすい職場の体制・雰囲気づくり」や「育休中の収入保障」がいずれも8割強、「昇進や昇給などにひびかない評価制度」が7割強と続いた。
義務化にするのであれば、まずは休みやすい職場の雰囲気の醸成や、収入と昇給の保障を求める声が反映された回答だったと言える。
また、職場の雰囲気と収入の問題以外に目立ったのは「男性が家事育児への主体的な姿勢・意志を持つこと」。実に51.3%と半数に上り、育休取得をする男性本人の意識改革が必要だと母親は考えていることが伺い知れた。
子育てに積極的になれるかは、父親の職場環境次第……
配偶者の職場環境と子育てへの影響を調査したグラフでは、父親の職場環境が良いと感じる母親ほど、子どもは「1人以上ほしい」と感じることが読み取れた。なかでも、「上司や同僚は子育てに理解がある」かどうか、「子どもの病気や用事などで休みをとったり早退遅刻はしやすい」かどうかという項目でギャップが大きかった。
男性の育児参加推進の機運が高まり、育休を取りたいと考える男性は確実に増えている。しかし、職場の体制・雰囲気によっては、育休を取得したくても働かざるを得ない状況下に置かれている男性もいる。
職場の制度改善はもちろん、上司や同僚といった周囲が育休への理解を示し、当事者が気持ちよく育休を取得できる職場環境づくりが重要になってくるのではないだろうか。
<文/古田島大介>
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている。