批判の的だったGoToトラベル。中止後の観光地・別府市の危機的な状況

「街ごと消えてしまう」という危機感も

別府市中心部の海沿いにある北浜温泉旅館街

別府市中心部の海沿いにある北浜温泉旅館街。海沿いに居並ぶ大型リゾートホテルたちは2月時点で殆どが休業したままだった。犬の散歩に来たものの、あまりの暗さに早足で通り過ぎる地元民の姿もあった。

 「今日も終末世界!」  大分県別府市の中心商店街で飲食店を営む男性は、コロナ禍で真っ暗になった街を見渡してそう呟いた。  「コロナ禍で苦しいのは何も観光地だけじゃない、東京や大阪も同じだ」と思う人も多いかも知れない。しかし、別府市中心部の「暗さ」は想像以上。実際にかつて観光客で賑わっていた駅近くのリゾートホテル街を歩いてみると、殆どのホテルや旅館、飲食店が「休館中」の貼り紙を出しており、その暗さは歩くのが怖くなるほどだ。  「このままでは街ごと消えてしまう」という危機感を抱く市民も多い。

「人気店でも生きられない」――別府市民に走る衝撃

 コロナ禍が続くこの冬、別府市民に衝撃的なニュースが飛び込んできた。JR別府駅近くにある市内で一番人気だった老舗ジェラート店が、突然の「無期限休業」を発表したのだ。その理由は「商品が売れないため品質が保てないこと」。関係者によると、今後は通信販売を中心に不定期に一部商品のみを販売するが営業再開の目途は立っていないという。同店は毎年夏の休日には地元民と観光客が並ぶほどの有名店だっただけに、市民に「コロナ禍では人気店でさえ生き残ることができない」という現実を見せつけるものとなった。
「無期限休業」となった老舗ジェラート店

「無期限休業」となった老舗ジェラート店。飲食店街として人気を集めていたアーケード商店街では他にも長期休業している店があり、以前よりも閑散としていた。

 東京などの大都市圏と比較すると、別府市がある大分県は比較的感染状況が落ち着いており、地域独自のものも含めて昨年春以降に緊急事態宣言が出ることもなかった。その一方で、観光都市であり交流人口が多い別府市では年末年始に中心商業地の飲食店に対する独自の休業要請を実施。合わせて支援金の交付を実施するとともに、飲食店従業員が無料でPCR検査を受けれるようにするなど、様々な感染対策と支援策をおこなってきた。  しかしそうした様々な支援策を以てしても、市内の飲食店は「人気店でも生き残るのが難しい」状況となっている。
別府市中心部・駅前商店街

年末年始に独自の休業要請を行っていた別府市中心部・駅前商店街。午後6時の撮影であるが休業・閉業中の店舗が目立ち、商店街は広い歩道を持て余していた。

 もちろん、観光客の消滅で大きな影響を受けているのは観光施設や飲食店のみに留まらない。別府市内ではGoToトラベル事業の休止以降、多くのホテル・旅館・飲食店が長期休業に突入。3月現在は市内で休業要請などは行われていないものの、そのまま長期休業を続けている例も少なくなく、百貨店や一部のスーパーも時短営業を続けている。  とくに半分以上の宿泊施設や店舗が休業したままの別府市中心部の北浜温泉旅館街は、あまりの暗さに「終末世界」と呼びたくなるのも無理はない状態だ。
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「GoToで儲けただろうに」――批判を浴びた観光地
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