コロナワクチン接種に抵抗ある人に知ってほしい、米報告で明らかになっていること

副作用はワクチンが効いている兆候

 非営利団体の全米退職者協会(AARP)のニュースで、ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生学大学院の国際ワクチン・アクセス・センターのウィリアム・モス所長は、「ある意味、これらの軽度から中等度の反応は『良いこと』です。免疫系がワクチンに反応していることを示しているからです」と言います。  また、クリーブランドクリニックのラーナー研究所サデウス・スタッペンベック所長は、次のように説明します。 「mRNAワクチンを接種すると、mRNAを含む小さな脂肪滴が腕の筋肉の細胞に取り込まれます。細胞はスパイクタンパク質を作り始めるので、体は筋肉細胞がコロナウイルスに大量に感染していると思います。このため、体は細胞内の見せかけの感染を撃退しようとして、炎症を引き起こします」 「ただし、症状がなくても心配する必要はありません。実際に試験の統計では、50%強は副作用をまったく経験しておらず、ワクチン接種後も94%は保護されています」  ワクチンによる副作用は珍しいことではありません。たとえば、季節性インフルエンザの予防接種は、発熱や倦怠感を引き起こす可能性があります。また、帯状疱疹を予防するワクチンは、震え、筋肉痛、胃のむかつきなどを引き起こす可能性があります。  専門家は、「重要なのは、一時的な不快感と長期的なメリット、つまり、多くの人の日常生活を破壊し、世界中240万人以上の命を奪った病気への予防とのを比較検討すること」と言います。  モス教授は、「私たちは生活の他の面で、不快感をいとわない。運動の後筋肉痛があっても、多くの人は「二度と運動するつもりはない」とは言いませんよね」「生活には、長期的な利益のために、ある程度の不快感のトレードオフをすすんで行う必要があります」と指摘します。

アナフィラキシーは非常にまれ

 さて、アナフィラキシーは、重篤で生命を脅かすことがあるアレルギー反応です。アレルギーのあるものにさらされてから、数秒または数分以内に発生する可能性があります。前述の「VAERS」へのアナフィラキシーの報告は計62件あり、ファイザーのワクチン接種後46件(74.2%)、モデルナのワクチンの接種後16件(25.8%)でした。  アナフィラキシーの発生は、投与された新型コロナウイルスのワクチン100万回あたり4.5回であり、不活化インフルエンザワクチン(100万回あたり1.4回)、肺炎球菌ワクチン(100万回あたり2.5回)、弱毒生帯状疱疹ワクチン(100万回あたり9.6回)の範囲内にあります。つまり、アナフィラキシーは「非常にまれ」であり、ワクチンの接種を受けることを思い留まるべきではありません。  アナフィラキシーには、効果的な治療があります。CDCは、アナフィラキシーの病歴のある人は接種後30分間、その他の人は15分間の観察を推奨しています。なお、CDCは、新型コロナウイルスのワクチンの成分に対して重度のアレルギー反応を起こしたことがある人、mRNAワクチンの初回投与直後にアレルギー反応があった人は、2回目の接種を行わないことを推奨しています。  一部の人は、接種した部位の赤み、かゆみ、腫れ、または痛みを伴う発疹を経験しました。これらの発疹は、最初の投与後、数日から1週間以上後に始まり、時には大きくなります。これらの発疹は「COVIDアーム」としても知られています。発疹がかゆい場合は、抗ヒスタミン薬を服用できますし、痛みを伴う場合は、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)などの鎮痛剤を服用できます。  またCDCは、ワクチンや注射薬とは関係のない、食品、ペット、毒、環境、ラテックスなどに重度のアレルギーの病歴がある人も、ワクチンを接種することを推奨しています。さらに、経口薬にアレルギーの病歴がある人、または重度のアレルギーの家族歴がある人もワクチン接種をさしつかえないとします。  さらに、「VAERS」に、合計113人の死亡が報告されました。ただし、死亡診断書、剖検報告書、医療記録、およびVAERSの報告書と医療提供者からの臨床的な状況の説明から、ワクチン接種と死亡との因果関係は示されませんでした。  合計113人の死亡者うち78人(65%)は介護施設の居住者で、そのうち約半分は、ホスピスの利用者、または蘇生処置の拒否を意思表示している人でした。多くの介護施設の居住者は基礎疾患を持つ高齢者のため、ワクチン接種後にワクチンとは無関係に死亡している可能性があります。実際、入手できる死亡診断書の死因は、心臓病、認知症、肺炎、老衰などでした。  介護施設の居住者ではない人の死因は、心臓病、がん、脳卒中、肺塞栓症などの基礎疾患、その他虚弱な健康状態が示されました。
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高齢者は副作用が少ない傾向
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