緊急事態宣言発令から3日後の歌舞伎町。yufinn / Shutterstock.com
前回記事の最後で、
菅内閣による緊急事態宣言(菅緊急事態宣言)の外食営業時間制限(外食時短)の効果が見えてきた可能性が極めて高いとして締めくくりとしました。
それから約二週間、
本邦、韓国、台湾におけるSars-CoV-2エピデミックはどう推移してきたかをみてゆきましょう。今回もOur World In Dataを使います。グラフのキャプションから原典に直接リンクしています。
先ずは、全世界と本邦の現状を見ましょう。
日本、北米、欧州、南米、全世界、アジア*、アフリカ、大洋州における百万人あたり日毎新規感染者数の推移(ppm線形 7日移動平均)2020/09/01-2021/02/08/*アジアとは一般にウラル山脈、ボスポラス海峡、紅海以東を指すが、OWIDではシベリアはロシア(欧州)、トルコ全域はアジアである。出典:OWID
本邦だけでなく、
北米、南米、欧州で1月上旬から中旬にかけて顕著なSpikeが発生し、1月下旬から急速に収束しています。これは
クリスマスによるSpikeです。北米では、12月初旬から特徴的なSpikeが発生していますが、これは
合衆国の感謝祭(Thanks Giving)大形連休によるもので、カナダでは見られません。本邦は、1月下旬までSpikeが残っていますが、これは新暦の正月を祝い、帰省を行う本邦独自のものです。欧米ではクリスマスを祝いますが、年末年始は普通の連休(今年は四連休)に過ぎません。また、アジアの多くの国は非キリスト教圏であり、東アジアでは旧正月の二月上旬がお正月の大型連休ですので、アジアではSpikeが目立ちません。大洋州は、エピデミックが微小ですので図ではX軸に張り付いています。
本邦では、
クリスマスと年末年始大型連休によるSpikeが連続して発生し、全世界の100万人当たり新規感染者数に迫りましたが、その後Spikeの通過と共に新規感染者数は急速に減少し、落ち着いてきています。まもなく本邦は、アジア全体の100万人当たり新規感染者数を割り込みます。これはたいへんに喜ばしいことで、筆者が強く憂慮した本邦に於ける謎々効果*の消滅は、今回も避けられています。
〈*モンゴル、中国、ミャンマー以東の東部アジア、大洋州ではCOVID-19パンデミックによる被害が他の地域、特に米欧に比してきわめて小さい。筆者はこの事実に2020年2月末頃に気がつき、同3月には「謎々効果」(謎々ボーナスタイム)と名付けている。全く同じ効果を”Factor X”と呼称している人たちもいる。米欧メディアや研究機関が注目するものの、謎々効果の原因も正体も不明であった。謎々効果の原因は依然不明だが、正体はこの領域では感染率が当初米欧の1/1000程度に抑えられていることである。致命率(CFR)は謎々効果があっても米欧他と大きな差はない。謎々効果は、アフリカ大陸でもほぼ全域で見られている〉
本邦と韓国は、100万人あたりの日毎新規感染者数がクリスマス前までにほぼ同率になりましたが、韓国ではクリスマス前から減少が始まり、年明けにはかなり改善しています。韓国では1月末に通産3回目の宗教団体起因のSpikeが生じましたが、約二週間で制圧の見込みです。
日本、韓国、台湾、アジア全体における百万人あたりの日毎新規感染者数の推移(ppm線形 7日移動平均)2020/09/01-2021/02/08/出典:OWID
日本と韓国、台湾における100万人あたり日毎新規感染者数の推移(ppm, Raw Data, 線形)2020/09/01-2021/02/08/出典:OWID
本邦は、日毎新規感染者数が1月中旬まで急速に増加し、たいへんに先が危ぶまれる状況になりました。しかしこれは、一過性且つ社会活動を起因とするクリスマスと年末年始連休によるSpikeであって1/21〜25に自然終息(通過)しています。