出張PCRの現場監督が語る「あなたの知らないクラスターの真実」
夜の街もさることながら、日中であってもクラスターの危険は至るところに潜んでいる。国の指定機関として出張PCR検査を請け負っている、リアン事務局長の飯島聡介氏は語る。
「学校や塾、その他スクール系など、大人数で集まる場所はクラスターになりやすい。生徒に感染の疑いがあるとしてPCR検査を行うと、実はすでに講師側が集団感染していたという事例も少なくありません。
あとは、病院の待合室。本当はコロナにかかっていなかったのに、病院に行ったことで罹患してしまったという元も子もないケースもあるようです。
また、20時以前であっても接待を伴う飲食店での感染リスクは多大。銀座のあるクラブでは、感染症対策として業者に除菌コーティングを依頼するなど徹底したにもかかわらずクラスターが発生し、訴訟に発展したこともあります」
しかし、クラスターが発生するのはなにも施設内だけではない。地域全体がクラスター化している場合もあるという。
「千葉や神奈川など、港のある県は感染が絶えません。海外からの渡航船はウイルスの温床です。成田では外国人、日本人を問わずすべての入国者に対して14日間はホテルなど隔離施設での待機が定められていますが、無症状の人は普通に出歩いてしまっている。そのため、港近くの歓楽街などではどこに行っても感染の危険性がある」
さらに今後、感染リスクは日常生活にまで及んでくる可能性もあるという。
「今、コンビニや電車内ではみんな静かにしているので感染リスクが低く抑えられていますが、これから花粉症の季節になり、咳やくしゃみが増えると感染が爆発する危険性は大いにあります」
2月4日、関東地方では’51年に統計を取り始めて以来、もっとも早い「春一番」が吹いた。どれだけ注意しても、感染リスクはそこかしこに潜んでいる。我々に安寧の時は来るのだろうか。
【東京大学教授・大澤幸生氏】
データ分析や可視化を専門とし、AIシミュレーションから会う人を身内に限定すれば感染拡大を抑えられるという結論を導いた
【リアン・飯島聡介氏】
夜間休日緊急往診のナイトドクター。国の認可を得て出張PCR検査を行うなかで、さまざまな企業の水際対策をその目で見てきた
<取材・文/桜井一樹 片波 誠>