日産自動車、契約社員800人を正社員へ。ビジネスパーソンが学ぶべき「意思決定の優先順位」

一律の能力開発支援でギャップを解消

 私が能力開発のための演習プログラムを実施しているトヨタグループ企業では、正社員から契約社員、派遣社員、他社へ出向している社員、他社から出向している社員までが一同に会して、プログラムを実施している。  いっぽうで、企業によっては派遣社員の育成責任は派遣会社にある出向者の育成責任は出向元企業にあるということにこだわったり、育成の優先順位は勤続期間の長い方から、正社員契約社員という順に位置づけているなどして、正社員以外の能力開発に躊躇する企業はいまだ少なくない。  正社員も契約社員の区別なく、一同に会して能力開発支援を実施しているということは、コストやリソースの利便性を確保しつつ、一体感を醸成するためのソリューションだと、私には思えてならない。

仕事の重要度を見極める基準とは

 質問:重要度の尺度も人によって異なるのか?  業務の優先順位の基準を重要度によって考えるといっても、重要度の尺度も人によって異なるのではないでしょうか?  ある人はチーム目標にとって重要か、ある人は業務を実施する自分自身にとってやる意味があるか、ある人はどの人から依頼されたかということが重要で、それぞれ基準が異なっていれば、結局、上司や依頼者を含めたチームにとって適切な優先順位づけとは言えないのではないでしょうか?  回答:業務を実施しなければ目標達成できない場合は重要度大  チーム目標と個人目標が一致しているという前提ですが、その業務を実施しなければチーム目標を達成できない場合は重要度が大、その業務を実施しなければチーム目標を達成できないかもしれない場合は重要度が中、実はその業務を実施しなくてもチーム目標を達成できるかどうかには関係ない場合は重要度が小というように峻別していくと、重要度の優先順位の確度が上がります。  このように考えていくと、重要度という概念が一段階、具体的になっていくからです。  <重要度:基準>  大:その業務を実施しなければチーム目標を達成できない  中:その業務を実施しなければチーム目標を達成できないかもしれない  小:その業務を実施しなければその業務を実施しなくてもチーム目標を達成できるかどうかには関係ない 【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第226回】 <取材・文/山口博>
(やまぐち・ひろし) モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある
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