私が能力開発のための演習プログラムを実施しているトヨタグループ企業では、正社員から契約社員、派遣社員、他社へ出向している社員、他社から出向している社員までが一同に会して、プログラムを実施している。
いっぽうで、企業によっては
派遣社員の育成責任は派遣会社にある、
出向者の育成責任は出向元企業にあるということにこだわったり、育成の優先順位は
勤続期間の長い方から、
正社員、
契約社員という順に位置づけているなどして、
正社員以外の能力開発に躊躇する企業はいまだ少なくない。
正社員も契約社員の区別なく、
一同に会して能力開発支援を実施しているということは、コストやリソースの利便性を確保しつつ、
一体感を醸成するためのソリューションだと、私には思えてならない。
質問:重要度の尺度も人によって異なるのか?
業務の優先順位の基準を重要度によって考えるといっても、
重要度の尺度も人によって異なるのではないでしょうか?
ある人は
チーム目標にとって重要か、ある人は業務を実施する
自分自身にとってやる意味があるか、ある人は
どの人から依頼されたかということが重要で、それぞれ基準が異なっていれば、結局、上司や依頼者を含めたチームにとって適切な優先順位づけとは言えないのではないでしょうか?
回答:業務を実施しなければ目標達成できない場合は重要度大
チーム目標と個人目標が一致しているという前提ですが、その業務を実施しなければチーム目標を達成できない場合は重要度が大、その業務を実施しなければチーム目標を達成できないかもしれない場合は重要度が中、実はその業務を実施しなくてもチーム目標を達成できるかどうかには関係ない場合は重要度が小というように峻別していくと、
重要度の優先順位の確度が上がります。
このように考えていくと、
重要度という概念が一段階、具体的になっていくからです。
<重要度:基準>
大:その業務を実施しなければチーム目標を達成できない
中:その業務を実施しなければチーム目標を達成できないかもしれない
小:その業務を実施しなければその業務を実施しなくてもチーム目標を達成できるかどうかには関係ない
【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第226回】
<取材・文/山口博>