各フリマアプリでも模倣品に対してはQ&Aを設け、取引キャンセルまでの手順や対応を示したり、オークション大手の「ヤフオク!」のようにAIによる偽造品の出品を防止するシステムを導入したりしている。
だが、今検証で簡単に入手できたように、コピー商品の根絶には至っていないのが実情だ。
偽造品の可能性があるという問い合わせに対し即座に対応を行ったのはイヤホンを購入した楽天の「ラクマ」だけで、残りの2サイトは「出品者との話し合いで解決してほしい」との回答だった。
コピー商品と承知で出品する者が話し合いに応じる可能性は決して高くないうえ、相手が反社会勢力の可能性もある。
穏当な「話し合い」で解決につながるとは思えないが、あらゆる種類の物品が状態を問わず出回るフリマアプリに包括的な対応を求めるのは酷だろう。
政府はこうしたコピー商品の取り締まりを強化する方針を示しており、’20年1~6月における知的財産侵害物品の税関での輸入差し止め件数は前年同期比18.7%増の1万5344件。差し止められた商品は中国製が最多だ。
だが、前出の山谷氏は「中国側の税関はそこまで厳しい取り締まりを行っておらず、X線ではわからないようなクオリティの商品も多数ある。すべてを根絶するのは難しいのでは」という見方を示す。
コピー商品がゼロにならない以上、消費者側は自己防衛を図るほかない。
賢い買い物だと思ったら、実は粗悪品を高値で掴まされていた、なんてことにならないように、「安かろう。悪かろう」の意味を改めて考えるべきだろう。
【ITジャーナリスト・山谷剛史氏】
中国を中心としたアジア各国のIT事情に詳しいジャーナリスト。いわゆる最新技術だけではなく、アングラな中国事情にも精通。
<取材・文/山野祐介 行安一真 撮影/林 紘輝>