台本を読むだけの“茶番劇”。「緊急事態」でも菅首相の言葉が響かない理由

会見をするたびに菅政権の支持率がどんどん下がっていく

1月7日の会見でも、菅首相は下を向いて台本を読み上げていた

1月7日の会見でも、菅首相は下を向いて台本を読み上げていた

 緊急事態宣言の再発出を決めた1月7日午後6時からの記者会見では、こういう声すら出ていなかった。7日の首相会見は首相官邸のウェブサイトで動画と文字記録を見ることができる。  この日、テレビ各局で中継された52分間の会見の冒頭で菅首相は「1か月で必ず感染者を減少させる」として「国民に制約のある生活をお願いする」と述べ、「若い人は感染してもほとんど重症化しないが、両親・祖父母などの命を守るため、自分のこととして考えてほしい」と訴えた。  しかし菅首相は滑舌が悪いうえ、下を見て台本を朗読するだけ。聞いている人には分かりにくく、言葉が心に響いてこない。  共同通信の世論調査(1月9・10日)では、菅政権の支持率は前回から9ポイント下がり、41.3%(不支持は42.8%)になり、政府のコロナ対応に対しては「評価しない」が68.3%、「評価する」は24.9%で安倍・菅政権で最低になった。12日発表のJNN世論調査では、支持率が先月より14.3ポイント下落して41%となり、不支持(55.9%)が初めて上回った。

発言の内容や熱意がまったく伝わらない首相会見

記者イメージ 11日に放送されたTBS「グッとラック!」で、田村淳氏は「菅首相の日本語ではまったく伝わらない」などと的確に批判し、司会の立川志らく氏も「カリスマ性のない菅首相では、ついていこうという気持ちにならない」と言い切った。  さらに、ニュースサイト「リテラ」によると、フジテレビの「バイキングMORE」では、坂上忍氏が「楽観視というよりは、理解してらっしゃるのかがちょっと不安」とコメント。和田アキ子氏も9日、自身のラジオ番組で「あの人の言ってること、ようわからんわ」と切り捨てたという。    TBSテレビ「ひるおび!」が8日、ネットで300人に「首相会見で、新型コロナの感染拡大防止の熱意が伝わったか」を聞いたところ、「伝わった」は約38%、「伝わらない」が約62%との結果が出ている。  田崎史郎氏はこの調査結果を見て「菅総理はもともと口下手。日本の歴代首相で話がうまかったのは田中角栄、小泉純一郎両氏ぐらい。菅総理は、安倍晋三前首相が使っていたプロンプターを使わないから、下を向いての棒読みになる」と菅首相をかばった。しかし、まったく自分の言葉で話せない菅首相は、歴代首相の中でも最悪だろう。  田﨑氏はまた、「ひるおび!」で、「若者への訴えの部分は、総理自身がよく考えた」「『必ず』を3回も使い、力がこもっていた」と菅首相をヨイショしたが、「では、若者への言葉以外の発言は誰が書いたのだろう」と突っ込みを入れたくなった。  市民の「知る権利」を代行する記者たちとの質疑応答でも、記者が質問している時から手元の問答集に目を落としており、首相は無表情でその回答を読むだけ。パソコン画面をずっと見ている記者たちのほうにも迫力がなく、緊張感もない。日本の首相の「記者会見」は、国際標準の記者会見(press conference)にはなっていないのだ。
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安倍政権以上の閉鎖性。中身もさらにスカスカ
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