新型コロナウイルスの変異種「B.1.1.7」、これまでわかってきたこと

感染力が強いが、病気の重症度への影響はない!?

 ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のニコラス・デイビス博士らのモデルによる、12月23日の報告によると、「B.1.1.7」は、従来のものよりも感染力が56%も高いと推定(英政府は70%と推定)され、感染の発生率が大幅に増える可能性があること、ただし従来のものより重症度が高い、あるいは低いという証拠はないことが示されました。  デイビス博士らは、「学校や大学の閉鎖など、新しい管理措置が必要になる可能性がある」「ただし、それでも十分ではなく、ワクチン接種を大幅に加速する必要がある」「ワクチンの展開なしだと、2021年の入院と死亡は、2020年を超える可能性がある」ことを警告しました。  ただし、この研究は、まだ科学雑誌による査読を受けていません。明確な答えを知るには、数か月かかる場合があります。  さらなる懸念は、南アフリカの変異種です。科学者らは、症例が急増している3つの州、東ケープ、西ケープ、クワズールナタールにおけるゲノムの配列を解析しました。すると、「N501Y」変異もある、英国の変異種とは別の系統を特定しました。「サイエンス」に、クワズールナタール大学のウイルス学者トゥリオ・デ・オリベイラ博士は「この変異種は、はるかに速く広がっているようです」と述べます。  そんな中、英ケンブリッジ大学のウイルス学者ラヴィンドラ・グプタ教授は、変異種についての研究を進めています。

「B.1.1.7」はどこから来たのか

 12月23日の「サイエンス」によると、2020年6月、グプタ教授は、新型コロナウイルスに感染したため、5月から地元の病院に入院しているがん患者を知りました。患者は再発したリンパ腫の治療を受けており、B細胞を枯渇させる薬剤であるリツキシマブを投与されていました。  患者は、新型コロナウイルス感染症の治療のため、抗ウイルス薬レムデシビルと、新型コロナウイルスに対する抗体をもつ患者の血漿2回の投与を受けましたが、診断から101日後の8月に亡くなりました。グプタ教授が、患者に感染したウイルスのゲノム配列を解析すると、免疫を逃れることを可能にしたかもしれない、いくつかの突然変異を見つけました。  免疫抑制薬を服用している、化学療法で治療しているなどの理由で免疫系が弱まっている患者は、ウイルスが数か月体内にとどまる可能性があります。すると、ウイルスが長期間、体内で複製するときに、多くの変異を蓄積し、ウイルスが進化する可能性があります。  グプタ教授は、「B.1.1.7」も、長期に感染した免疫不全患者に由来している可能性があると考えています。
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