飲食店の「コロナ休業」を救え!休業支援金・給付金の効果的な使い方

休業支援金・給付金が活用されていない実態

 休業支援金・給付金は国から労働者に直接、休業補償がされる制度だが、先述したように企業の協力拒否などから、その活用が進んでいない。休業支援金・給付金の予算5442億円のうち、わずか10.3パーセントしか使われていないのが実態だ。企業の協力拒否の背景には、制度への誤解や無理解があるように思われる。多くの企業は、休業指示を認めることで、労働基準法26条の休業手当の支払い義務を認めることになり、労働基準法違反に問われてしまうと恐れているのではないかと考えられる。しかし、厚労省は休業支援金・給付金への協力は、休業手当支払い義務の判断には影響しないとしており、全くの誤解である。  また、対象企業が中小企業だけであり、大企業が対象になっていないのも問題だ。そのため大企業では休業補償が全くされないという事態が多発しており、ユニオンにも大企業で働く労働者からの相談が後を絶たない。国は大企業も対象とするよう早急に対応するべきだろう。

飲食業の皆さん、休業支援金は使わなきゃ損

 1月8日からの緊急事態宣言では、特に飲食業界への自粛要請が強調されており、飲食企業への経済的打撃が懸念されている。そして、そのしわ寄せが立場の弱い非正規労働者などにいくことは必至だ。飲食業の事業主の皆さんは、ぜひ、休業支援金・給付金制度を積極的に活用してほしい。  また、飲食業界で働く労働者の皆さんには、休業補償がないと言われたとしても諦めないでほしい。休業支援金・給付金の活用を試みてほしい。そのためには、労働組合(ユニオン)や支援団体にまずは相談し、それらの団体を活用することをおすすめする。制度を効果的に使える方法を教えてくれるだろう。休業支援金は使わないと損だ。 <文/原田仁希>
1989年生まれ。3.11以降、反原発運動への参加をきっかけに社会運動を始める。現在は、個人加盟型の労働組合「首都圏青年ユニオン」の委員長として活動している。主に、若者や非正規労働者の労働問題に取り組む。
1
2
3
4
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会