記者会見の質疑は、司会による注意事項の説明の後、幹事社を務めた2社(テレビ東京、時事通信)の質問が始まった。その質疑は以下の通り。
司会者(山田真貴子 内閣広報官):
「それでは、これから皆様から質問を頂きます。指名を受けられました方は私が指名させて頂きます(中略)なお、自席からの追加質問はお控え頂きたいと存じます。最初は慣例に従いまして、幹事社2社から1問ずつ質問を頂きます。それでは、幹事社の方どうぞ。」
テレビ東京 シノハラ記者:
「緊急事態宣言について1都3県について発令を検討されるというお話がございました。えー、報道ではですね、週内にも発令を検討されているという報道が相次いでおりますが、具体的なスケジュール感について教えていただければと思います。また発令する場合、一定の周知期間は設ける考えでしょうか。えー、また昨年末の会見では、えー、緊急事態宣言には慎重な姿勢を表明されていましたが、ここに来てですね一転してこの発令の検討に至った、その一番のポイントというのはどこだったのでしょうか。えー、また、GoToトラベルがですね11日に全国停止の期限を迎えます。えー、今回の緊急事態宣言の対象になるであろう1都3県を除いて解除を行うのか、それとも引き続き全国の一斉停止を続けるのか、現状の考えを聞かせていただければと思います。」
菅総理:
「
まず冒頭のあいさつの中で申し上げました通り、国として緊急事態宣言の検討に入りたいと思います。特に飲食の感染リスク、この軽減を実効的なものにするために内容を詰めていきたい。そのように思います。(
赤信号)
この考え方でありますけども、北海道・大阪など時間短縮を行った県は結果が出てます。東京といわゆる首都3県にお……、おいては三が日も感染者数は減少せずに、極めて高い水準であります。1都3県で全国の半分という結果、ここ、出ております。こうした状況を深刻に捉えて、より強いメッセージが必要である。このように考えました。(
青信号)
そして、こうした、あー、考え方のもとに政府として諮問委員会にかけさせて頂いて、そこで、えー、考え方を伺うわけであります。ですから、具体的にいつということよりも、まずはその飲食の軽減リスクをですね、軽減する実行的なもの。そのことをこれから詰めて、えー、そこの中で、えー、表明したいと、こういう風に思ってます。(
赤信号)
それと緊急事態宣言となれば、いわゆるGoToトラベル、これについての再開はなかなか難しいのではないか。このように考えてます。(
青信号)」
*質問に答えていないため記者が再質問したことに対して、司会者(山田真貴子 内閣広報官)が 「すいません。追加質問お控えください」と記者に注意し、質疑は終了する。
方針転換の理由も具体的なスケジュールも何も語らなかった菅総理
まず、質問は大きく分けて4点あった。
①緊急事態宣言発令の具体的なスケジュール感
②緊急事態宣言発令までに一定の周知期間を設けるか
③緊急事態宣言に慎重だった昨年末から一転して発令の検討に至ったポイント
④1月11日に停止期限を迎えるGoToトラベルは解除するのか停止するのか
これら4点の質問に対して菅総理は1段落目、3段落目では論点をすり替えており、
赤信号とした。
【質問】緊急事態宣言発令までの
具体的スケジュール
↓ すり替え
【回答】緊急事態宣言発令までの
進め方
また、3段落目で
「飲食の軽減リスクを軽減する」という意味不明な言い間違いをしている点も指摘しておく。菅総理は会見全体を通して、こうした
言い間違いが多く、何を言っているのか日本語として分からない場面が度々見受けられた。
2段落目は質問③に関係するので
青信号としたが、
大した対策もとらずに年末年始休みに入った首都圏の感染者数が減少しないのは予想できたことであり、年明け後に方針を一転させた理由の説明としては不十分だろう。
4段落目は質問④に対して、「GoToトラベルの再開は難しい」という見解を示しており、青信号とした。
結局、
質問①(緊急事態宣言発令の具体的なスケジュール感)と②(緊急事態宣言発令までに一定の周知期間を設けるか)に対する回答は一言も無かったため、記者が再質問しようとしたが、
司会の山田真貴子 内閣広報官がすかさず妨害したため、1人目の質疑はこれで終了となってしまった。新しく得られた情報としては、質問④に関する「
緊急事態宣言再発令となった場合、GoToトラベルは停止する」ということのみであった。
この後、幹事社である時事通信の記者が2人目として質問するが、「1月からの通常国会で目指す成果」や「9月の自民党総裁選、10月の衆議院任期満了への対応」という、非常に緊急性の低い質問であったため、本記事では割愛する。