カルト業界も様々な動きがあった2020年を振り返る

3位:統一教会フロント組織のイベントに三重県や四日市が後援や補助金

 ジャーナリストの鈴木エイト氏によるスクープ。三重県と四日市が後援し市制施行123年周年記念事業として多額の補助金が交付されて11月29日に開催された「ファイト三重!県民まつり」に、統一教会のフロント組織や関係者が深く関わっていた。  統一教会のフロント組織である三重県平和大使協議会が県や市とともに後援に名を連ね、主催者である「ファイト三重!県民まつり」実行委員会の主要メンバーの複数が、教団及び教団フロント組織の関係者やフロント組織と関わりを持つ地方議員たちだった。鈴木氏の取材によって、同実行委員会の事務局担当者も、教団の別のフロント組織の事務部長だったことなども判明した。 〈参照:地方イベントに食い込む統一教会フロント組織。三重県四日市市のイベントに多額の補助金交付も統一教会フロント組織が食い込むイベントに後援の三重県・四日市市に危機感なし。勧誘に繋がる危険性も弁護士は指摘統一教会フロント組織が仕切る地域イベント、現地取材で見えたもの(以上、HBOL、鈴木エイト氏)〉

2位:韓国で新天地イエス教会が新型コロナ感染を拡大させる

逮捕された教祖の李万熙(右は筆者、2014年撮影)

逮捕された教祖の李万熙(右は筆者、2014年撮影)

 韓国の新宗教団体「新天地イエス教会」で2月、大邱(テグ)市の教会で礼拝した信徒らの新型コロナウイルス集団感染が確認された。2月22日には韓国の感染者数は433人と発表されており、この時点ではその8割近くが新天地イエス教会の信者であると報じられた。  もともと宗教行事で感染が広まる危険性は指摘されており、現にこれ以降も世界中の様々な宗教施設での感染が確認されている。  しかし新天地イエス教会については、感染者した信者が病院を抜け出して礼拝に参加した上に大邱市内のホテルで食事をするなど移動しまくったと報じられたことや、韓国での感染者急増の端緒だったこと、さらには教会側が感染した信者に関する情報を韓国当局に対して出し渋り接触者の追跡を困難にしたとされたことなどから、大炎上。教祖・李万熙(イ・マンヒ)は土下座謝罪にまで追い込まれたものの、8月に逮捕された。  また新天地イエス教会はもともと、他のキリスト教会に対する乗っ取り等の謀略的な手法で勢力を拡大しているとされ批判されていた。この関連で、集団感染発覚後、宗教法人の認可を取り消されたと現地メディアは報じている。

1位:安倍カルト内閣が退陣し菅カルト内閣が成立

 安倍晋三首相の突然の辞任により、9月16日に菅義偉新内閣が発足した。首相辞任の直前の時点で統一教会との関わりを持つ閣僚11人を抱えた安倍内閣だったが、菅内閣ではこれが若干減りはしたものの9人と、相変わらずの多さ。それ以外にも、社会的に問題市され批判を浴びている団体等と関わりを持つ閣僚の数は、安倍内閣と殆ど変わらなかった。 〈参照:統一教会系閣僚9人。安倍政権と変わらぬ菅政権の「新宗教・スピリチュアル・偽科学」関係安倍政権同様、親学・EM菌にも近しい菅政権閣僚たちオカルト・疑似科学団体と密接な下村博文自民党政調会長。ワールドメイト系から500万献金の大臣も(HBOL)〉 <文/藤倉善郎>
ふじくらよしろう●やや日刊カルト新聞総裁兼刑事被告人 Twitter ID:@daily_cult4。1974年、東京生まれ。北海道大学文学部中退。在学中から「北海道大学新聞会」で自己啓発セミナーを取材し、中退後、東京でフリーライターとしてカルト問題のほか、チベット問題やチェルノブイリ・福島第一両原発事故の現場を取材。ライター活動と並行して2009年からニュースサイト「やや日刊カルト新聞」(記者9名)を開設し、主筆として活動。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島社新書)
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