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下村博文自民党政調会長
前々回、
前回につづき、菅内閣の安倍内閣とほぼ変わらない「カルト内閣」ぶりをリポートする。今回は、幸福の科学、ワールドメイト、世界救世教と関わりを持つ閣僚と、文部科学大臣時代に「文部疑似科学大臣」とも呼ばれた「オカルトのデパート」こと
下村博文・自民党政調会長について詳細を見てみたい。
もちろん、政治家である以上、信仰に関係なく宗教団体などの会合に顔を出すこともあるだろうし、信仰がある場合についてはプライベートに関わる問題でありそれを非難する意図はない。ただ、国会議員等の身分や役職を引っさげてイベントに出席したり祝電や祝花を送れば団体側の権威付けに協力することになり、それはプライベートな信仰活動にとどまらなくなる。社会的に批判されている団体等との関わりであれば、なおさらだ。議員連盟での活動等、各分野に関する推進活動や、政治資金収支報告書に記載される金銭の授受も、プライベートではなく政治家の政治活動だ。政策等も含めて、国民の利害に影響を与えるものであり、政治家個人のプライバシーではない。

今回、際立って目立つのはワールドメイトだ。ワールドメイトと関わりを持つ閣僚は
平沢勝栄・復興相1人だが、
政務官にも4人、自民党4役にも1人いる。全て含めると、第2次安倍再改造内閣の2人から6人へと増えた。しかも平沢復興相は群を抜いてワールドメイトとの関係が深い。各人のワールドメイトとの関わりの内容は、以下の通り。
復興相・平沢勝栄:2015年「若い議員と語り合うグローバル・オピニオン・サミット」出席。2017年、自民東京都第十七選挙区支部に菱法律経済政治研究所、日本視聴覚社、ジャパンペガサスツアー、たちばな出版から各100万円(計500万円)の献金。2017~2019年「深見東州・バースデー書画展」に祝花、2015・2018・2019年は会場でスピーチ。
総務大臣政務官・谷川とむ:2014年に自民大阪府第19選挙区支部にワールドメイトから100万円献金。2019年「深見東州・バースデー書画展」に祝花。
経済産業大臣政務官・宗清皇一:2015年、深見氏のコンサートチケット2万3000円購入。2014年に自民大阪府第19選挙区支部にワールドメイトから100万円献金。2018・2019年に「深見東州・バースデー書画展」に祝花。
国土交通大臣政務官・鳩山二郎:2017年「深見東州・バースデー書画展」に出席し「これからも先生(深見東州)のために私も懸命に努力していかなければいけない」と挨拶、2018・2019年に祝花。
防衛大臣政務官・大西宏幸:2014年、自民大阪府第1選挙区支部にワールドメイトから100万円献金。2018・2019年に「深見東州・バースデー書画展」に祝花。
党政調会長・下村博文:2015年「深見東州・バースデー書画展」に祝電、2017年に祝花。2013年スポーツ平和サミットに出席し挨拶。
特徴的なのは、政治家の方がイベントに出席したり祝電等を送ったりするだけではなく、ワールドメイト関連団体や場合によってはワールドメイトそのものが堂々と政治家に献金もしている点だ。
ワールドメイトは過去、高額な布施を支払った信者から訴訟を起こされたり、批判的な報道を行ったジャーナリストや出版社を片っ端から訴えるなどしてきた。近年も、
教祖・深見東州が天災を予言し、それを防ぐためと称して信者から「お布施」を集めるなどしている。深見は本名を「半田晴久」といい、予備校「みすず学苑」や時計店「ハンダウォッチワールド」も経営している。
もともと、
小沢一郎や
亀井静香との親密さが際立っていたものの、与野党問わず手広く政治家たちとの人脈を築いてきた。現在も、現役国会議員のうち
衆院で16人、参院で2人の計16人について、ワールドメイトとの関係が確認されている。この18人は、
自民党議員は10人、立憲民主6人、維新1人、無所属1人という内訳になっている。
たとえば
統一教会との関わりが確認されている国会議員は
衆参あわせて92人いるが大半が自民党議員で、
立憲は5人。割合で比べると、ワールドメイトの手広さは一目瞭然だ。
そもそもがこうした状況なので、これは
菅政権だけの問題でも与党だけの問題でもない。