コロナ禍にコロッケさんが本名で歌う「人と人が出会うことの尊さ」

不思議なご縁が、いつどこでつながるかわからない

筆者の取材後に撮影

筆者の取材後に撮影

 と、お話にオチが付きましたが、この記事はここで終わりません。最後にもう一つ、ぜひご紹介したいエピソードがあります。私が石垣島へコロッケさんの取材に行くという話を事前にある方に伝えたところ、こんな思い出を披露してくれたのです。 「10年余り前に、コロッケさんが舞鶴で公演をしたことがあって、見に行きました。そしたらコロッケさん、左腕を骨折したそうで、三角巾で腕を吊っていました。そんな大変な状態で一生懸命汗だくになって、ダンスやモノマネをしてくださったんです。ロボットの五木ひろしさんが最高に面白かった。  ステージからコロッケさんの人柄が滲み出て、愛にあふれていました。あの頃、舞鶴に転勤したばかりで何だか寂しい生活をしていたので、とても楽しいひとときを過ごすことができました。感謝していますとお伝えください」  配信前、コロッケさんにこの話を披露したところ、「え~っ、ほんとですか!?」と驚きながら喜んでくれました。 「あの時のことはよく覚えています。左腕を折って、その次に新宿コマ劇場の舞台で左ふくらはぎをけがして、かなり痛む状態でした。でも、けがをしてるといっても、できる限りのことを届けるのが僕の中でのルールなんで、やったんです。その思いが届いたんですね。いや~、うれしいです。この仕事をさせて頂いてありがとうございますって、充分すぎるくらいうれしいです」  そこで私は、この思い出を披露してくれた方のことを紹介しました。 「私が今、取材している方。財務省近畿財務局で公文書の改ざんをさせられて命を絶った、赤木俊夫さんの妻の、赤木雅子さんです。ちょうど俊夫さんの転勤で神戸から舞鶴に移った時のことで、ご夫婦で見に行かれたそうですよ」 「えっ、あの方? ええ~っ、そうだったんですか? 凄いご縁だなあ。僕も赤木さんの裁判(改ざんをめぐり国などを提訴)を応援しているんです」  そして色紙にサインを書いてくれました。「頑張って下さい!!」とのメッセージを添えて。この色紙はもちろん、赤木雅子さんにお渡ししました。
赤木雅子さんに贈った色紙には「頑張って下さい!!」の文字が

赤木雅子さんに贈った色紙には「頑張って下さい!!」の文字が

 だからやっぱり、人と人との出会いは素晴らしい。不思議なご縁がどこでつながるかわからない。新春にふさわしい、おめでたい話としてお届けします。新年が皆さまにとってよい年でありますように。   <文・写真/相澤冬樹>
大阪日日新聞論説委員・記者。1987年にNHKに入局、大阪放送局の記者として森友報道に関するスクープを連発。2018年にNHKを退職。著書に『安倍官邸VS.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由』、共著書に『私は真実が知りたい 夫が遺書で告発「森友」改ざんはなぜ?』(ともに文藝春秋)
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