動画編集で追い込み作業中のスタッフたち
午後5時、石垣島の空はまだ明るい。ライブ配信が始まりました。前日から当日昼まで、コロッケさんが島の各地を訪れた様子が、編集映像で紹介されます。
石垣島ユーチューバー、ヒデオマンさんの案内でユーグレナモールを歩く(主催者提供)
「島のことならまかしとけ!」という石垣島ユーチューバー、ヒデオマンさんの案内で、日本最南端のアーケード商店街「ユーグレナモール」を訪問。名物の塩せんべいや泡盛をはじめ、土産物が並ぶ店を渡り歩き、握手を求める店の人たちに笑顔で応じました。
やちむん館で民芸品作りに挑戦(主催者提供)
空港に近い森の中にある伝統民具の工房「やちむん館」では、月桃という植物の茎を使った工芸品の作り方を、地元の女性に習いながら挑戦しました。こうしたコロッケさんの自然体での人々とのやり取りを紹介するのも、配信の狙いの一つです。
本番でモノマネを披露するコロッケさん
そしていよいよステージでの本番、「旅うた」ライブin石垣島。いろいろな歌手の持ち歌を、誰もが期待する得意のモノマネで披露します。コロッケさんのモノマネはデフォルメ(誇張)がキツく、時にモノマネされる当事者からの苦情も寄せられるといいますが、やはりそこが魅力で大いに受けます。ですが中には、笑いを意識せず、ふざけすぎずにただ歌手の歌い方をまねた歌もまじえます。
午後6時を回り、ようやく空が少し暗くなって、一番星が見えるようになってきました。ライブの最後は、自身でシングル盤も出している「いのちの理由」。さだまさしさんの作詞作曲です。この曲はモノマネではなく、自分の本来の声で歌います。そして芸名の「コロッケ」ではなく、本名の「瀧川広志」の名前で歌います。その理由は……。
「コロッケの名前で歌うと、聞いている方が『誰のまねなの?』となるじゃないですか。この歌は僕自身が歌う歌として、自分の本来の声で歌いたい。だから本名なんです」
コロッケさんの名前ではなく、本名で「人と人が出会うことの幸せ」を歌う
「いのちの理由」を熱唱するコロッケさん
石垣出身の八重山アーティスト、金城弘美さんの三線の伴奏で、瀧川広志さんが歌い始めました。
「私が生まれてきた訳は 父と母とに出会うため」
続いて、きょうだいたちに出会うため、友達みんなに出会うため、愛しいあなたに出会うため、と出会いの尊さを歌います。人はどこかの誰かを傷つけ、傷つき、救われ、救う。人は幸せになるために生まれてきた。悲しみの向こうから喜びが満ちてくるように。そう歌って最後にこう締めくくります。
「私が生まれてきた訳は 愛しいあなたを護るため」
人は出会って傷つけ傷つくこともあるけれど、救われ救うこともある。悲しいことがあっても、きっとその向こうに幸せが待っている。だから人と人との出会いは大切。コロナ禍の今だからこそ、コロッケさん、いや違う、瀧川広志さんは、幸福な出会いの尊さを伝えたかった。
その歌声は石垣島の夜空に響き、配信を通して全国の視聴者に伝わっていった。歌声とともにメッセージも間違いなく伝わったことでしょう。
このイベント「コロッケの旅うた」は、新年も続きます。次回は日本の北端、北海道からの配信を計画しているそうです。