連発された見当違いの回答。TBS『news23』の菅首相インタビューを信号無視話法分析してみた

菅義偉総理

時事通信フォト

ノーカット放送された約21分間のインタビュー映像の衝撃

 2020年12月21日、TBS系列「news23」に菅義偉総理が出演。番組のアンカーである星浩氏、メインキャスターの小川彩佳氏の2名が約21分間にわたって菅総理に単独インタビューし、新型コロナウイルス対応を中心に、桜を見る会、日本学術会議の任命拒否などの問題を幅広く質問した。このインタビューは当日17時台に事前収録されたものだが、23時からの放送ではノーカットで放送され、大きな注目を集めた。これまでテレビで放送されてきた菅総理の国会やグループインタビューにおける受け答えは、あたかも質問に回答できているかのように編集された映像が大半であったが、今回は約21分間にわたる質疑がノーカットで放送されてしまったため、総理の回答はことごとく質問とズレるという事実が露呈したからだ。  本記事では、全18問の質疑を一字一句漏らさずにノーカットで信号機で直感的に視覚化していく。具体的には、信号機のように3色(はOK、は注意、はダメ)で直感的に視覚化する。(※なお、色表示は配信先では表示されないため、発言段落の後に( )で表記している。色で確認する場合は本体サイトでご確認ください) 20201221rule また、当日の映像はTBS NEWSのyoutubeチャンネルで、全文 文字起こしは筆者のnote「【全文 文字起こし】 news23 菅義偉首相インタビュー2020年12月21日」で公開されている。

質問にほとんどまともに答えなかった菅総理

 質問に対する菅首相の回答を集計した結果、下記の円グラフのようになった。 20201221result<色別集計・結果> ●菅首相:赤信号30% 黄信号36% 青信号27% 灰色6% *小数点以下を四捨五入しているため、合計は必ずしも100%にはならない  首相の見解を問うような緩い聞き方の質問もあったため、青信号の割合が3割弱あるものの、赤信号と黄信号が7割弱を占めている。いったいどのような質疑だったのか詳しく見ていきたい。
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誤認識を平気で語った菅総理
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