次に、新型コロナウイルス対応に関する最後の質問として、注目が高まるワクチン接種について質問される。その質疑は以下の通り。
【12問目】
小川彩佳氏:
「あの、今後の鍵となってくるのがやはりワクチンですけれども世界ではすでに接種が始まっています。日本では早ければ2月にもという話もありますけれども総理はいつ頃という風に考えていらっしゃいますか? 」
菅総理:
「
えー、まずワクチンについて米国の会社から12月18日に特例承認を求める申請があり、また国内治験では2回の接種これすでに終わっています。そして来年2月までに主要なデータ、これがとりまとめられる予定であります。(
黄信号)
で、今後、治験などのそうしたデータ、しっかり審査した上でですね、えー、全国の国民の皆さんに人数分だけは確保してますので、えー、体制を整えている。ただ、その場合やはり安全性、えー、有効性、こういう確認も大事ですから、そうした事を確認ができたら一挙にスタートできるようにですね、今官邸にその対策チームつくってます。例えば厚生労働省だけでは、この、70度ですか、それを運ぶ車、ここは国土交通省。地方自治体にお願いするところは総務省とか。あー、運ぶ車の冷凍庫をつくるのは経済産業省とか。これ全部分かれているんです。そこは官邸にしっかりしたチームをつくって、えー、安全確認されたら一挙に、この接種できるようなそんな体制を今つくっているところです。(
赤信号) 」
12問目は日本におけるワクチン接種の開始時期が単刀直入に問われているが、回答(=開始時期)は一言も無い。まず、1段落目は周知の事実である「ワクチンをめぐる動き」を述べただけのため、黄信号とした。
続く2段落目は官邸の対策チームについて長々と説明しているが、以下のように論点をすり替えており、
赤信号とした。
【質問】ワクチン接種の
開始時期
↓ すり替え
【回答】ワクチン接種の
体制整備
以上が、新型コロナウイルス対応を中心に問われた、インタビュー開始から約13分間の12問のやり取りだ。菅総理は本当に質問を理解できないのか、用意された原稿の内容の中で答えるつもりしかないのか真意は図りかねるが、質問と回答が全く噛み合っていない質疑が大半を占めている。
そして、質疑は噛み合わないまま、残りの約8分間で行われた6問では、桜を見る会、日本学術会議など国会をめぐる動きについても質問されていく。それらは近日公開予定の
後編で紹介する。
<文・図版作成/犬飼淳>
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いぬかいじゅん●サラリーマンとして勤務する傍ら、自身の
noteで政治に関するさまざまな論考を発表。党首討論での安倍首相の答弁を色付きでわかりやすく分析した「信号無視話法」などがSNSで話題に。
noteのサークルでは読者からのフィードバックや分析のリクエストを受け付け、読者との交流を図っている。また、日英仏3ヶ国語のYouTubeチャンネル(
日本語版/
英語版/
仏語版)で国会答弁の視覚化を全世界に発信している。