まず、新型コロナウイルスについて、より感染力の強い変異種がイギリスで拡大していることを受けて、日本の水際対策について質問される。その質疑は以下の通り。
【1問目】
小川彩佳氏:
「主に新型コロナをめぐる対応について、お話を伺ってまいりたいと思っているんですけれども、その前にまずはイギリスから非常に気になる発表がありました。あの、従来のものよりも感染力が強いという新型コロナの変異種が拡大しているという報告があったということですけれども、総理にはどのような報告があったんでしょうか。」
菅総理:
「
あのー、英国政府の発表を踏まえてですね、えー、直ちに厚生労働省、えー、ウイルスの専門……、厚生労働省とウイルスの専門家、国立感染症研究所ですか、ここで、えー、すぐ対応しました。(
赤信号)
で、対応した結果ですね、えー、同じような変異をしたウイルスは現時点では……、おいては無いと。まあ、そういうことの報告を受けています。(
青信号)」
【2問目】
星浩氏:
「ヨーロッパとか中東で、あのー、入国停止措置をやってますよね。そこは日本はどうですか。」
菅総理:
「
ここは、日本は、あのー、イギリス政府と緊密に連携しながら。(
青信号)
ただですね、現時点において上陸拒否対象国に今なってますので、特別の方限りですよね、日本に入って来れるのは。例えば日本人の方でイギリスに住んでらっしゃる方とか、あー、1週……、1日1人か2人だそうです。それで、そうした人もちろん検査します。それで陰性でも14……、14日間、あのー、隔離する。まあ、そういう体制でありますので、えー、そこは大丈夫だというふうに思っています。(
赤信号)」
【3問目】
小川彩佳氏:
「今後、水際対策を強化されるという考えは今のところは?」
菅総理:
「
あのー、ですから、今のままの中で、ただ、1日1人ぐらいですから。そこは、今対応できますから。(
赤信号)
さらに厳しくする方向というのは当然イギリスとの間で、今、あのー、交渉してます。(
青信号)」
この1〜3問目では、
変異種に対して日本政府がどのような水際対策をするのかが問われているのだが、日本政府の方針は全く見えてこない。回答にあたる青信号が少ない上に、青信号の内容は「イギリス政府と緊密に連携」「イギリスと交渉している」など
具体性が全くないからだ。
それでは、青信号以外の箇所で菅総理がいったい何を話していたのかを振り返ってみると、1問目の2段落目の回答は、以下のように
論点をすり替えており、赤信号とした。
【質問】変異種の
報告内容
↓ すり替え
【回答】変異種の
対応状況
また、注目すべきは2問目の2段落目、および3問目の1段落目。菅総理は「
イギリスから日本への入国者が1日あたり1人〜2人だから大丈夫」という主旨の回答をしているが、これは大変な認識誤りであり、
赤信号とした。
翌22日の野党合同ヒアリングでこの発言の真偽を問われた厚労省は「11月29日からの一週間でイギリスに滞在歴のあった方の空港での検査数が692名。うち陽性となった方が2名。総理は陽性の方の数字を述べておられたのでは」という回答をしている。また、翌々日の23日に加藤勝信官房長官はイギリスからの入国者は「12月は1日平均150人」と説明している。
菅総理は、水際対策を考える上での基本的な数字を桁が2つもズレるほど誤って認識していることがこの質疑で露呈した。