大学入試改革の1年を振り返る。記述式の問題は結局どうなったのか

大学入試での「記述式」の問題の出題の是非のゆくえ

高校生

画像はイメージ(adobe stock)

 今から1年前の12月17日、萩生田文科大臣から突然、来月実施される共通テストにおいて数学と国語の試験に「記述式」の問題を出題することが中止との発表がありました。それは期限内に確実に公平に採点されるかが疑問視されるということが主な理由でした。  そして、このことが理由の一つとなり、もう一度「まっさらな状態から大学入試のあり方を議論しよう」ということで「大学入試のあり方に関する検討会議」が開催されることとなりました。この会議は当初は今年中に、途中から今年度中に結論を出すとのことになり、第19回の会議では集中的に議論され、今後の様子が見えてきました。

共通テストだけで入学できる人は少ない

 萩生田大臣のこれまでの実績については様々な意見が交わされていますが、一つ確実にプラスの実績と言えるのは、これまで表に出てこなかった大学入試に関するデータをまとめさせ、公開させたということでしょう。それによって、これまで記述式を導入しようとする側がいかに都合のよいデータを使って説明してきたかということが明らかになりました。  例えば、共通テストで記述式を導入すべきと主張する人達は、共通テストだけで入学できる「大学の数」を根拠にします。しかし、これにはからくりがあります。それは、複数学部をもつ大学のうち一つでも共通テストだけで入学ができる試験区分があれば、その大学をまるごと「共通テストだけで入れる大学」としてカウントしているのです。  こうすることで、共通テストの役割を実態よりも大きく見せることができます。しかし、萩生田大臣が主導して、文科省に出させた資料によると、その実態は次のようになります。 【大学入学募集人員に対する共通テストだけで入学できる募集人員の割合】  全体で 603649人中53216人 (全体の8.8%)  この内訳は、   国立大学95393人中747人(0.8%)   公立大学30743人中579人(1.9%)   私立大学477513人中51890人(10.9%)  これに対して、センター試験のみで合否を判定している試験区分をもつ大学は、760大学中519大学(全体の68.3%)と膨れ上がりますが、これは当然です。念を押すと、全体の68.3%の人がセンター試験のみで合否を判定されたわけではありません。  なお、この68.3%という数字(資料によっては多少の誤差はある)は、これからも共通テストに記述式問題を入れるべきと考える専門家と呼ばれる人達が利用するとも考えられますのでご注意ください。
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