10万台が爆売れした電気自動車の実力とは? 中国産・45万円の「宏光ミニEV」に乗ってきた!

 中国の激安EVが現地で爆売れし、日本でも話題になっている。中国製は「安かろう悪かろう」が常だが、乗り心地はどうなのか。中国在住のライターが試乗してみた!

爆売れ中の「宏光ミニEV」

宏光ミニEV

宏光ミニEV

 東京都は先頃、’30年までにガソリン車の新車販売を禁止する方針を明らかにした。経産省の「’30年代半ばまで」から一歩踏み込んだ形で世間を揺るがせた。こうした流れのなか、普及が期待されるのは電気自動車(EV)だ。だが、国内のEV価格は高止まりのままで、課題は多い。  一方、“世界一のEV市場”である中国では今、激安の小型EVが爆売れしている。米ゼネラル・モーターズ(GM)の中国合弁メーカー・上汽通用五菱汽車が7月末に発売した「宏光ミニEV」だ。エアコンなしで航続距離120㎞の最安モデルがなんと2万8800元(約45万円)と驚きの価格で、日本でもSNSで大きな話題になっている。  宏光ミニEVは’20年11月の販売台数で米テスラを抜いて1位に(新エネルギー車カテゴリー)。’20年の総販売台数は10万台を超えることが確実視されているのだ。世界中から注目を集めているこの車だが、果たしてその実力はどうなのか。中国在住のライターが試乗を体験した!

車体や装備は安っぽいが居住性は悪くない

宏光ミニEV

「宏光ミニEV」は一般の自動車の半分ほどの大きさで、とても4人が乗り込めるようには見えない。デザインも少し古い気がする

 夜9時すぎ、メーカーのHPから試乗予約をする。すると、5分後にディーラーの営業担当から電話が。日本ではありえないクイックレスポンスだ。当初、テキトーな対応ぶりだったが、記者が日本人であることを告げると、「ジャパニ~ズ、お話しできて光栄です!」と態度が一変したのだった。  予約日に広州市内のディーラーを訪れ、実物と対面。2人乗りかと思うほどのコンパクトさだ。全幅は1.4mで日本の軽自動車と変わらないが、全長は2.9mと軽自動車より50㎝ほど短い。ホントに4人も乗れるのかといぶかったが、後部座席使用時はトランクがつぶれる仕様になっている。
宏光ミニEV

居住空間を目いっぱい確保するため、トランクは猫の額ほどのスペースしかない。ただし後部座席を倒すことが可能で、フラットにすれば大きめのスーツケース2個は積めそうだ

 中に入ってみる。居住性は想像していたよりも悪くない。硬めのシートは新幹線のシートのような座り心地で、近距離の運転には問題ない。運転席には十分なスペースがあり、さほど窮屈さは感じなかった。  後部座席はさすがに狭く、飛行機のエコノミー席のようだが、むしろ後部座席にこれほどのスペースを確保できたことに驚く。2ドアで、後部座席には前部座席を前に倒して乗り込む。内装はプラスチックで統一されており、どこを触ってもカチカチ。ドアの取っ手やサイドブレーキもプラスチックで、安っぽさは隠せない。
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走行は予想外の快適さ
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