ブーイング続出で暗雲立ち込めるグラミー賞。「眩い光」を放ったのはザ・ウィークエンドではなく女性たち
コロナショック下で大打撃を受けている音楽産業。先月末、その顔とも言えるグラミー賞2021のノミネートが発表された。多くのフェス、ツアー、ライブがキャンセルされてしまった2020年だが、音楽シーンを代表する祭典の開催にリスナーは大興奮……と思いきや、同賞を巡っては早くも多くの批判や疑問が飛び交っている。
これまでも「旬なアーティストがまるで評価されていない」「売れ線のポップスばかりが選ばれている」「似たような部門が多すぎて、どれが大事なのかわかりづらい」などなど、音楽ファンからはやや冷めた目で見られてきたグラミー賞。
当サイトでも以前、ケンドリック・ラマーやロードといった今や音楽シーンをリードするアーティストたちが憂き目に遭ってきたことをご紹介したが、はたして新型コロナウイルスによる世界的パンデミックのなか、いったいどんなアーティスト、楽曲がノミネートされたのか。まずは主要4部門のノミネートをご覧いただきたい。(参照:GRAMMY AWARDS)
最優秀レコード賞(シングル曲の演奏者・製作チーム)
Beyoncé/BLACK PARADE
Black Pumas/COLORS
DaBaby featuring Roddy Ricch/ROCKSTAR
Doja Cat/SAY SO
Dua Lipa/DON’T START NOW
Post Malone/CIRCLES
Megan Thee Stallion featuring Beyoncé/SAVAGE
最優秀アルバム賞(アルバムの演奏者・製作チーム)
Jhené Aiko/CHILOMBO
Black Pumas/BLACK PUMAS
Coldplay/EVERYDAY LIFE
Jacob Collier/DJESSE VOL.3
HAIM/WOMEN IN MUSIC PT.Ⅲ
Dua Lipa/FUTURE NOSTALGIA
Post Malone/HOLLUWOOD’S BLEEDING
Taylor Swift/FOLKLORE
最優秀楽曲賞(シングル曲の作詞・作曲者)
Beyoncé/BLACK PARADE
Roddy Ricch/THE BOX
Taylor Swift/CARDIGAN
Post Malone/CIRCLES
Dua Lipa/DON’T START NOW
Billie Eilish/EVERYTHING I WANTED
H.E.R./I CAN’T BREATHE
JP Saxe featuring Julia Michaels/IF THE WORLD WAS ENDING
最優秀新人賞
Ingrid Andress
Phoebe Bridgers
Chika
Noah Cyrus
D Smoke
Doja Cat
Kaytranada
Megan Thee Stallion
さて、いかがだろうか? まず注目したいのは、ザ・ウィークエンドの不在だ。今年3月にリリースされたアルバム、「After Hours」は英米でチャート1位を獲得。大手レビューサイトの「メタクリティック」では80点、音楽専門誌での評価も軒並み100点中80点以上や5つ星中4つ星と、セールス・評価ともに今年を代表する一枚となっている。
その影響力はお茶の間にも及んでおり、筆者が現在住んでいるポーランドでも、ラジオをつければ収録曲「Blinding Lights」が必ず一日一度はオンエアされていた。
これまでのポップスやR&Bの要素に加え、レトロフューチャーなサウンドを取り入れたザ・ウィークエンドは、まさに質実剛健な存在。批評家やメディアから、一般リスナーまでこぞって魅了しただけに、少なくともノミネートは確実だと思われていたのだが……結果はご覧のとおり。
先ずは主要4部門をノミネートをおさらい
ザ・ウィークエンドがグラミーを猛批判
この予想外の冷遇に対して、ザ・ウィークエンドは自身のツイッター上で「グラミー賞は腐敗している」と不満をぶちまけた。背景には、グラミー賞でのパフォーマンスか、アメリカン・フットボールの祭典、スーパーボウルでのパフォーマンスかを選ぶように迫られ、グラミーを蹴ったことがあったようだ。授賞式でパフォーマンスをしなければ、アルバムや楽曲を正当に評価してもらえないとは、いったい何のための賞なのか……。The Grammys remain corrupt. You owe me, my fans and the industry transparency…
— The Weeknd (@theweeknd) November 25, 2020
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