統一教会フロント組織関係者が主導するイベントに、お墨付きを与えた格好の四日市市と三重県。『ファイト三重!県民まつり』の申し込みページには参加者の個人情報を記載する項目がある。高校生以上は大人扱いとなり、氏名だけでなく住所や電話番号まで教団フロント組織の関係者に知られることになる。
これまでにも同教団系のボランティア組織は、清掃ボランティア活動などを通じて正体隠しの偽装勧誘を行ってきた。教団は街頭での偽装勧誘時にもこの手のボランティア活動へ誘う手口を採っており、筆者はその勧誘現場を幾度となく目撃し、勧誘被害者からの証言も得ている。
今回、『ファイト三重!県民まつり』に参加した若者がミライメーカーのステージや発表に興味を持ち、その活動に参加するなどして偽装勧誘被害に遭った場合、イベントにお墨付きを与えた市や県はその責任を取れるのであろうか。応援メッセージを寄せた市長や県知事とともにその責任が問われることになる。
同教団のフロント組織の活動に詳しい全国霊感商法対策弁護士連絡会・東京事務局長の渡辺博弁護士(田村町総合法律事務所)は、こう警鐘を鳴らす。
「平和大使協議会は、統一教会が宗教団体であることの正体を隠して、国会議員、地方議員、資産家その他の有力者を取り込んで教団の活動に参加させるための組織です。今回、四日市市が平和大使協議会の主導するイベントに市民の血税から補助金を支出し、三重県とともに後援することは、憲法が定める政教分離原則に反し、またたくさんの裁判例が違法と判断している統一教会の活動にお墨付きを与えることとなります。
統一教会は、印鑑販売等により2007年以降多くの信者が全国各地において特商法違反で逮捕されたことについて『国会議員、地方議員に対する取り込みが不足していた』と反省し、以後平和大使協議会等を使って政治家を統一教会の活動に参加させてきました。今回のイベント開催もその一環です。統一教会は今回のイベントに参加した多数の市民の名簿を手に入れ、この名簿を使って勧誘を行っていくと思われます。四日市市、三重県はこの責任をどう取るのでしょうか」
新型コロナ第3波が到来している時期に、教団の内部イベントではなく地域の住民らを巻き込み屋内での開催となる『ファイト三重!県民まつり』。後援と補助金の拠出を継続する地方自治体と教団フロント組織に取り込まれた複数の地方議員に対し、厳しい視線が向けられることになる。
県や市から後援や補助金を受け29日に開催される『ファイト三重!県民まつり』の実行委員の中から、教団やそのフロント組織との関係が発覚した人物の顔ぶれを改めて以下にまとめておく。
・実行委員長 永田正巳 元三重県議会議長 三重県平和大使協議会共同議長
・実行委員 梶田淑子 三重県地域婦人団体連絡協議会会長・全地婦連副会長 元名張市議 三重県平和大使協議会共同議長 世界日報に記事掲載
・実行委員(事務局)矢田真佐美 鈴亀女性会会長 三重県平和大使協議会事務部長 ピースロード三重2019&2020総務・会計
・実行委員 安井邦彦 世界平和連合議長 三重県平和大使協議会議長 元統一教会第8地区長 元統一教会三重教区長 鈴鹿家庭教会教会長
・実行委員 柴田浩也 世界平和連合三重事務局長 三重県平和大使協議会事務局長
・実行委員 橋本裕輝 2020年度亀山市PTA連合会家庭教育委員長 YSP世界平和青年学生連合 三重事務局長
・実行委員 生川猛雄 FPU平和統一聯合三重事務局長
・実行委員 石田成生 自民党三重県議 ピースロード三重2019&日韓トンネル合同イベント出席、2020年7月日韓トンネル推進三重県民会議および三重県平和大使協議会主催の役員研修会出席
・実行委員 市川哲夫 鈴鹿市議 統一教会ピースロード三重2019&日韓トンネル合同イベント出席
・実行委員 渡辺(渡邉)清司 自民党桑名市議 統一教会ピースロード三重2020共同実行委員長 2019年平和大使協議会総会出席、2020年7月日韓トンネル推進三重県民会議および三重県平和大使協議会主催の役員研修会出席
・実行委員 前野和美 自民党三重県議 2020年7月日韓トンネル推進三重県民会議および三重県平和大使協議会主催の役員研修会出席
・実行委員 花井錬太郎100歳大学講師 元三菱商事
*(本稿は「にょろ」氏ツイッター @hyoloro*非公開 を参照した)
<取材・文/鈴木エイト(ジャーナリスト)>