地方イベントに食い込む統一教会フロント組織。三重県四日市市のイベントに多額の補助金交付も

四日市市が後援と補助金、三重県は後援

『ファイト三重!県民まつり』は四日市市の市政施行123周年「市民企画イベント」事業として補助金の交付が決まっており、四日市市のHPや市報にもイベント情報が掲載されている。
四日市市公式サイトに掲載されたファイト三重!県民まつりへの補助金交付認可

四日市市公式サイトに掲載されたファイト三重!県民まつりへの補助金交付認可
〈参照:四日市市 市制施行123周年記念「市民企画イベント」事業について|「市民企画イベント」事業一覧

『ファイト三重!県民まつり』の案内

四日市市のHPや広報誌に掲載された『ファイト三重!県民まつり』の案内(四日市市イベント情報集約サイト及び四日市市役所広報マーケティング部「広報よっかいち」より)

弁護士団体が指摘していた公的機関利用の問題点

統一教会と公的機関の関係性という観点からみると、直近では昨年12月に神奈川県内の公的施設で開かれた「統一教会因縁トーク」講演会問題が記憶に新しい。調査と是正を自治体へ申し入れた全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)は申入書の中で統一教会について「反社会的勢力とも言うべき、極めて問題のある特定宗教団体」と言及しており、この件を今年6月に報じた神奈川新聞は同教団を「霊感商法や違法な勧誘などが問題になっている(中略)団体」と指摘した。 〈参照:神奈川新聞|旧統一教会、公的施設で講演会 弁護士ら調査申し入れ〉  情報提供を兼ねて11月11日と12日、四日市市と三重県の担当部署に電話取材を行った。神奈川新聞の報道内容を伝えた上で、一般的に見てそのような社会的評価がなされている教団のフロント組織が関与するイベントを三重県や四日市市が後援し、補助金を交付することへの見解を質した。  補助金交付を認可した四日市市の政策推進課によると、補助金の額は経費の2/3で上限は100万円。個別の交付金額の公表は差し控えているという。 「申請の段階で要綱上宗教団体には補助金は出せない。ヒアリングさせてもらった上で四日市市のPRに努めるということで補助の対象になった」  統一教会フロント組織の関与は把握していないと答える担当者。 「要綱に抵触しないかということは確認したが、そこまでは認識していない。実行委員会としてご提示、宗教団体ではなかった。申請書プラスアルファでヒアリング等、要綱を満たしているか審査した」 「内容が要綱上、宗教だと補助対象外になり得る」  統一教会の関連組織だと認識できていれば対応は違っていたのか、補助金交付の取り消しについては「教会の団体名で来ていれば…」「実施まで期間があるのでその辺は…」と明言を避けた。  イベントの後援を認可した市の観光交流課にも当てた。担当者は後援の審査についてこう経緯を明かした。 「実行委員会から申請があった。事業内容が『シティプロモーション』や『郷土愛醸成』だったので観光交流課で後援名義を受け付けた」  実行委員会からは当日配布するプログラムに印刷するためとして、市長や県知事からの応援メッセージ提供の要請があったという。三重県の鈴木英敬知事も、愛知県の大村知事と同様に昨年10月の教団4万人集会へ祝電を贈っている。 〈参照:HBOL|“統一教会”の国際会議に自民党国会議員大量出席、清和会会長が来賓として講演〉  統一教会フロント組織の関与が明白となれば後援の取り消しはあるのか。担当者は「主催は実行委員会」と答えるのみ。その委員会に教団フロント組織関係者が多数散見されることについては「政策推進課からいただいた補助金申請書にはそういう団体の方がそこまで関わっているとは(記載がない)。宗教性というのは判らない」と弁明した。  反社会的と指摘される宗教団体の関連組織が実質的・主体的に関わっているとなった場合、市としてどう対応するのかと追及すると、ようやく「反社であるとかに代表されるが、そういう場合であれば当然しかるべき対応というのはありますね」と含みを持たせた。但し「123年の記念事業は審査委員会で精査しているので、後援を出さないということは基本ない」とし、今後の判断については政策推進課と歩調を合わせるという。 「政策推進課と話をして補助金の取り下げという方向性があれば当然我々も後援しない」  同じく後援を認可した三重県庁の地域支援課は、経緯と今後の対応についてこう答えた。 「実行委員会として申請を受け、内容について地域活動を支援するイベントとのことで、平和大使協議会云々よりも申請いただいた実行委員会の申請内容で判断した。今後の対応は上と協議する」  いずれも、日を改めて今後の対応について確認することとなった。
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実行委員は「存じ上げないです」の一点張り
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