日本に到来した新型コロナ「第3波」。無責任な政府対応とピンボケ報道が招くシナリオ

2020年10月中旬の東京

Ryuji / PIXTA(ピクスタ)

遂に到来した「秋の波」新型コロナウィルス第3波エピデミック

 2020年合衆国大統領選を目前に控えた11月1日早朝未明、ふと気がついて本邦のCOVID-19新規感染者数の統計を見た筆者は、驚くべき変化を見付けました。
日本と韓国における百万人あたり日毎新規感染者数の推移(線形ppm 7日移動平均) 1

日本と韓国における百万人あたり日毎新規感染者数の推移(線形ppm 7日移動平均) 2019/12/31-2020/10/30
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 このとき筆者は、本邦における「秋の波」(第3波)を、暫定的に起点10/9で*10/24頃から既に指数関数的増加に移行していると見做しました。筆者の体は一つしかないとはいえ、気がつくのが一週間おくれたのは痛恨事でした。 〈* 次回以降で述べるが筆者は現在、合衆国などによる本邦についての報告を読むことにより、実際には9月末が第3波の起点である可能性が高いと考えている〉  とても不思議なことですが、北半球では珍しい夏の第2波エピデミックを起した合衆国と本邦は、合衆国の2〜3週間後を規模1/100〜1/25で本邦が正確に追うという現象が起きています。合衆国における秋の波=第3波は9/10-13を起点として発生していますので、10月初旬からの本邦における日毎新規感染者数の推移=エピデミックカーブ(エピカーブ)は、強い警戒を要するものでした。  合衆国と本邦が北半球における夏の大規模な第2波を起こしたのは、公衆衛生・防疫行政における大失敗の結果です。また合衆国に比して本邦のエピカーブが非常に低いものとなっているのは、カンボジア、中国、モンゴル以東の東部アジア・大洋州における謎々効果(Factor Xと呼ぶ人もいる)によるものです。この謎々効果は、アフリカ大陸でも見られます。
合衆国と日本、韓国における百万人あたり日毎新規感染者数の推移(線形ppm 7日移動平均)

合衆国と日本、韓国における百万人あたり日毎新規感染者数の推移(線形ppm 7日移動平均) 2019/12/31-2020/10/30
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現在はどうなっているのか

 第3波は、10月上旬からゆっくりと拡大し、下旬になって指数関数的増加が強く疑われる急増を示しました。それでは現在どうなっているのでしょうか。謎々効果で守られている東部アジア・大洋州諸国で比較してみましょう。  本邦は既に、エピカーブが明確に指数関数的増加を示しており、暫定的ではありますが、倍加時間(新規感染者数が2倍になるまでの時間)が7日程度と見積もられます。この数字は、大変に深刻なものです。  結果としてエピカーブそのものの増加率がまだ若く急激である一方で、既に夏の第2波エピデミックにおける増加最終段階であった8月上旬の新規感染者数を示しています。これは、以前から指摘してきたベースラインの上昇によるものです。筆者は、第一の目安を10ppm(百万人あたり10人の感染者数で1200人/日)に置いていましたが、あっさり突破されました。  筆者は次の目安を豪州が8月冬のエピデミック*で示した20ppm(2500人/日)としていますが、現在の倍加時間から、今週後半には突破すると考えられます。 〈*豪州は、南半球なので8月は冬〉  実は、これまで世界の模範とされてきた韓国でも、8/15におこなわれた右派宗教団体、サラン第一教会によるバイオテロールと言って良い5万人ゲリラ集会*によるエピデミックの制圧がうまくいっておらず、秋の波=第3波エピデミックの指数関数的増加への移行を辛うじて阻止している状況です。 〈*文大統領が「公権力を見せるべき」と警告した日、サラン第一教会を家宅捜索 2020/08/22 中央日報〉  しかし検査を抑制してきたノーガードの本邦と、世界の模範である韓国を比べると、本邦はもはや制御不能に陥っているのに対して、韓国はまだ制圧できる可能性があります。韓国は、今が正念場と言えます。
日本と東部アジア・大洋州諸国における百万人あたり日毎新規感染者数の推移(線形ppm 7日移動平均)

日本と東部アジア・大洋州諸国における百万人あたり日毎新規感染者数の推移(線形ppm 7日移動平均) 2019/12/31-2020/11/14
ワースト4のマレーシア、ミャンマー、フィリピン、インドネシアは除く
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 次に、謎々効果で守られている東部アジア・大洋州諸国の中で5大コロナ駄目国家の比較をします。8月以降に謎のエピデミックを起したマレーシアとミャンマーを加え、フィリピン、インドネシアという常連メンバー、そして日本です。
東部アジア・大洋州諸国ワースト5(マレーシア、ミャンマー、フィリピン、インドネシア、日本)における百万人あたり日毎新規感染者数の推移(線形ppm 7日移動平均)

東部アジア・大洋州諸国ワースト5(マレーシア、ミャンマー、フィリピン、インドネシア、日本)における百万人あたり日毎新規感染者数の推移(線形ppm 7日移動平均) 2019/12/31-2020/11/13
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 日本は、コロナ駄目国家と言ってもインドネシアの1/3程度であり、張り出し駄目国家と言うべきでしたが、第3波の指数関数的増加によってインドネシア、フィリピン、ミャンマーを今週中にぶち抜く可能性があります。  倍加時間が7日を維持した場合*、11月末にはマレーシアも追い抜き、堂々、東部アジア・大洋州諸国コロナ駄目国家の横綱となります。理由は簡単で、本邦は高緯度の為に寒冷化、乾燥化するのに対し、フィリピン、ミャンマー、マレーシア、インドネシアは亜熱帯から熱帯の為、季節性のコロナウィルス・エピデミックは起し難いことが知られています。 〈* 倍加時間は、一定程度時間が経過すると長くなって行く。そうしてエピカーブは飽和し、減衰へと向かう。それが半月後か、1ヶ月後か、2ヶ月後かはわからない〉  本邦は、現状で介入(対策)が行われない場合、月末に40ppm=5千人/日の新規感染者が発生することとなり、12月初めには80ppm=1万人/日の新規感染者が生じることとなります。この頃になると、本邦の世界的にも特異的に貧弱な行政PCR検査は、医師会PCR検査を加えてもウィルスに圧倒されることとなり、行政は患者数の実態を把握できなくなります。こうなる前に現在の自由診療によるPCR検査を行政検査化しなければ、本邦はウィルスに完敗することとなります。これは世界でも珍しい、本邦に特徴的なことと言えます。安倍自公政権下における8年における健康保険医療の骨抜き・利権化と国策によるエセ科学・エセ医療デマゴギーであるPCR検査抑制論などの結末と言えます。  いずれにせよ本邦は、既に未知の領域に入り込みつつあることを我々は自覚せねばなりません。  それでは次に、新型コロナウイルス・パンデミックの本場である米欧と比較してみましょう。
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「謎々効果」がない欧米は桁違いだが無策のままの日本も楽観できない
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