ブエノスアイレスの街並み
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アルゼンチンで9月に債券保有者との負債交渉が成立して、その再編が可能になったというのに、今度は通貨ペソの切り下げの必要性が迫られている。現地電子紙『
Infobae』(10月23日付)によると、15%から20%の切り下げが必要と予測されている。
政府は切り下げの実行を先延ばしにしているが、それを遅らせれば遅らせる程、そのインパクトは強度を増すことになる。現在の通貨ペソの下落は留まるところを知らず対ドル公式レートは1ドル=84ペソであるが、闇レートは既に1ドル=169ペソにまで下落している。この双方の差が100%以上という状態ではペソの下落はより加速されることは必至で、それを支えきることは不可能である。
ちなみに、前大統領のマウリシオ・マクリが2015年12月に大統領に就任した時の公式レートは1ドル=13ペソであった。
スペイン紙『
El País』(11月2日付)を参照すると、今年第2四半期のGDPは19%の後退。2001年の預金引き出しが禁止された2001年が-16.3%だったということを考慮すると、事態は非常に深刻だ。
また、インフレを見ると、9月の時点まで1年間のインフレ率は37%と同紙は指摘している。2019年のマクリ政権が終了した時点でのインフレ率は55%まで上昇した。問題は、現状のペソの下落をそのまま放置しておくと、インフレは今年12月までに80%に到達するいうのが先に触れた『Infobae』が指摘している。
それに輪をかけたように、アルゼンチン中央銀行は負債を相殺すべくを今年上半期に1兆3500億ペソ(1兆7800億円)に相当する紙幣を発行し、それが余りにも多量で、その内の4億枚の紙幣をブラジルから輸入したことも前述スペイン紙が報じた。
新しく紙幣を刷って負債を相殺するというのはアルゼンチンで良くやる常套手段だ。