また少ない外貨の流出を防ごうとして進出して来た外国企業の資金の流れを政府はコントロールしようとするためアルゼンチンから撤退する企業も出ている。例えば、今年9月にチリのチェーン店ファラベーリャ(Falabella)がアルゼンチンから撤退することを発表したことが地元紙『
El Cronista』(10月20日付)が報じた。
政治家の汚職と腐敗ということについて、40%のインフレ率を残して政権を去り、政権中に犯したとされる汚職で、またそれを裏付ける証拠も十分に挙がっていることから故ボナディオ判事は現副大統領で元大統領だったクリスチーナ・フェルナンデスに対し収監命令6回も出している。にもかかわらず、彼女は今も不逮捕特権を利用して政治家として職務を続けている。その一方で彼女の汚職に関係していた数十名は現在収監されている。このような人物であるにも関わらず、正義党を支持する国民の多くが今も彼女を支持しているのである。さらに理解できないのは、そのような彼女を保護するために法改正を行おうとしているのが現在のアルベルト・フェルナンデス大統領政権である。
現在世界で必要とされている原材料リチウム、クローム、銅、プラチナ、アルミ、ゴールド、淡水、原油、天然ガスといった天然資源に恵まれ、豊富な食肉と穀物を産出しているアルゼンチンは有能な政治家が国の舵取りをやればまた世界のリーダー国になれるはず。しかし天は二物を与えずということわざの通り、アルゼンチンは政治家の出来が悪く(日本も同様?)成長が止まったままである。
アルゼンチンと兄弟関係にあるウルグアイの世界一貧しい大統領だったムヒカはアルゼンチンのことを「アルゼンチンは余りにも自然資源に恵まれているのが不幸だ。だから無駄使いするようになる」と述べている。
<文/白石和幸>