ロックダウンを経てイギリス社会はどう変化したのか? 100日間、生活を記録していた入江敦彦氏が振り返る

ロンドンの街角

英語で「マスク」というと、仮面、覆面状のものを想像する人が多い。こちらでは「Face Covering(顔を覆うもの)」と言われる。それほど口元を覆うマスクは一般的でない。苦手というより新しい習慣ゆえ定着が難しい

英国ロックダウン緩和90日後…

 封鎖が緩和されて3ヶ月後、イギリスは寒の戻りならぬ〝暑の戻り〟に見舞われました。こちらの秋らしい20℃前後の気候に体が慣れ始めていたので、ちょっと慌てました。そして、それと同時に厭ぁなアイツも帰ってきました。はい。コロナです。誰もが予想していたし政府や専門家も声高に注意を促していたので暑の戻りほどは驚かなかったのが本音です。  イングランド東北部の数都市がまとまって再封鎖に突入。あとは虫食いみたいに各地で大規模のクラスターが発生して街はふたたび息を潜めだしました。ロンドンも時間の問題だと言われてます。水際、ぎりぎりのところで何とか免れている感じ。また近所周辺のみの生活になるやもしれぬと電車に乗って日本食材を調達してきました。  はっきりいって、もはやほとんどのものはアマゾンなどの通販サイトで購入可能。焦りはありません。またぞろトイレットペーパーを買い占める連中が増えてきましたが、店も心得たもので厳しい制限をかけています。もうすっかり行列も見なくなっていたんですが、あれが復活したらかなわんなと思うくらい。

「2種類」に分かれた英国人

ソーシャルディスタンスを促す道路標示

マスクのせいで会話が減り、社会距離ゆえ感情の伝達が難しくなり英国人はストレスましまし。先日、日本的習慣でお辞儀に合掌を添えたら意味を訊かれた。相手を神仏に喩えて感謝を示すのだというとひどく感心された

 たぶんいま英国人たちは大きくふたつに分かれているような気がします。とりあえず4万人以上の死者を出し、第2波でも1日6千人超えの感染者が報告されたりしてるので、これが「ただの風邪」なんかじゃないことは子供でも知っています。ただ頭では解っていてもニューノーマルを粛々と受け入れる人と、なんとかそれ以前のライフスタイルを復活できないかと足掻く人がいる。  いちばん柔軟性がありそうなティーンエイジャーや若者たちが他人の迷惑などにこれっぽっちも頓着せずレイヴ(ゲリラ的な野外パーティ)を開催したりしているのが興味深いですね。そんなことしてもコロナの不安からは逃れられないのに。そう考えると科学的知識(に基づいた論理的思考)なんて皆無な連中がこの病気を軽んじているのも、いわばレイヴみたいなもんで怖くて不安で仕方がないんだろうな。弱虫。  もちろん医者や専門家が寄ってたかって正体が掴めないと頭を抱えた伝染病なんですから誰だって不安です。だからって人様の迷惑になるような風説を流しちゃだめでしょ。たぶん薬局が開店する前からマスクを求めて——家にいっぱい在庫があるというのに——行列する行為なんかも不安が動機だったはずです。
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ロックダウン禍の日記で伝えたかった「まいんだぎゃ」……って何??
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