電車事故で手足3本を失ったサラリーマンが語る「どん底からの復活」

障害を持つようになってから気づいたこと

――現在は一人でお住まいですよね?  はい。就職をした22歳から今までずっと一人暮らしです。最初は心配されましたが、親に負担をかけたくなかったし、何よりも自立したかったので。 ――手足が自由に動かせた頃には気づかなけなかった事柄などはありましたらお伺いしたいです。  通勤のため電車に毎日乗っていますが、やはり周りを見て行動していない人が、すごく多いと感じます。  乗り降りする時も自分本位で人のことを押してきたりして危ないし、座席に座るときも一人分以上の幅を取ったり……。そういったマナーが気になりますね。 ――現在はどのようなお仕事をされていますか? 職場ではどのようなサポートがあるでしょうか。  最初はIT企業に障害者雇用枠で勤務し、転職して現在は航空関係の会社で一般社員として働いております。障害者枠ではキャリアアップが厳しい側面もあるので、最初から一般職で応募しました。  仕事は、デスクワークを中心に経理業務等を、他の社員とまったく同じ待遇で行っています。障害があるからといって特別扱いされることは嫌なので、そういったことが僕にとっては一番のサポートであると言えます。

自分の経験を通じて、皆に勇気と元気を与えたい

――動画の反響で、印象的なものがありましたらご教示ください。  YouTubeを始めて2ヶ月と少し経ちましたが、ありがたいことに多くの方々が見てくださり、外出時にも視聴者に話しかけられたりするので、その時は皆さんのリアルな声援を聞けたりできて本当に嬉しいです。  動画のコメントでは、「人生観が変わった」など、視聴者の方に少なからず良い影響を与えることができていることを感じ取れて嬉しく思います。 ――動画は毎日撮影されているのですか?  いいえ。週一本を目標に、平日で時間がある時に制作しています。僕も土日は健常者と同じようにプライベートを楽しんでいますからね(笑)。ユーチューバーの大半はビジネスだと思いますが、僕にとっては社会活動の一つなので。 ――動画を通じて障害を持つ方や、悩んでいる方の励みになりたいという意図を話されていましたが、今後具体的にやりたいことや伝えたいことなどありましたらご教示ください。  海外では「モチベーショナルスピーカー」(編集部注:人々のモチベーションを上げ、変容をもたらす内容のスピーチを行う人)という職業を持つ方が多くいますが、日本ではまだ主流ではありません。  僕自身の経験や言葉を通して、1人でも多くの方に勇気や元気を与えて前向きになってもらう。そんな手助けが出来るモチベーショナルスピーカーを将来的に目指していきたいです。  また僕のインタスタグラムは、先天性四肢欠損症のお子さんを持つ方もたくさんフォローしてくれています。そのお子さんたちや、一般の方にも「手足が3本ない山田がやれてるのだから、自分にもできる」と思ってもらいたい。意味のある怪我だったと感じていきたい。  そのために、YouTuberとしての活動はもちろんですが、ゆくゆくは本の出版や、全国での講演活動などを通じて、たくさんの人の笑顔に触れることで、僕自身も生きる価値や喜びを感じていければ嬉しいです。 【山田千紘】 1991年9月22日生まれ。2012年に電車事故で右腕、両脚を切断。2020年7月24日「山田千紘 ちーチャンネル」を開設。アイスランドのOSSUR社の義足モデルも務める。 ツイッター:@chi_kun_cq22 インスタグラム:@chi_kun_cq22 <取材・文/安(HBO編集部)>
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