今話題のオンライン旅行とは? ギリシャの離島「パロス島」にリモートトリップしてみた。

オンライン旅行を始めたきっかけについて社長に聞く

 オンライン旅行を提供するロコタビは、2014年にWebサイトをオープン。元は「トラベロコ」というサービス名で運営していたが、今年1月にロコタビへと名称変更している。
椎谷豊さん

椎谷豊さん

 ロコタビを運営する株式会社ロコタビ代表の椎谷豊さんは、サービスを立ち上げた背景についてこう話す。 「会社を立ち上げる前は旅行情報サイトの運営の仕事を7年間やっていたんです。『地球の歩き方』のWeb版みたいなWebメディアでして、当時から海外在住の日本人に、ライターの仕事をお願いするためにやりとりをしていました」  その時に「取材はできるけど、ライティングの仕事はできない」という現地在住の日本人がたくさんいることに気づいたという。 「ライターの仕事ってやり慣れてないと、結構文章を書くのが難しいですよね。他方、ライター以外の仕事でも海外に在住しながら副業をしたいというニーズもあったのは知っていた。海外在住の日本人にもっと仕事を振れないか、貢献できないかという思いから今の会社を立ち上げました」  ロコタビを立ち上げた2014年当初は、ちょうどAirbnbのようなサービスが興隆していた時期だ。  椎谷さんも「海外在住の日本人」と「海外旅行に興味ある日本人」とをマッチングするサービスを立ち上げ、ユーザーの声を反映していきながら、マッチング事例を増やしていった。

オンラインにシフトしたことで視野が広がった

 現在、海外在住の日本人は137万人といわれている。そのうちの5万人以上がロコタビに登録していると椎谷さん。 「知る人ぞ知るような形でサービスを利用しているユーザーが大半だったのが、2019年からは一般のユーザーも使ってくれるようになりました。ただ、トラベロコという名前は、旅行比較サイト『トラベルコ』と紛らわしかったので、ロコタビに名称変更したんです」  コロナの影響で海外旅行へ行けないユーザーに対し、オンライン旅行サービスを提供しているロコタビ。  ユーザーの反応について椎谷さんは「手探りながらも、オンライン旅行を提供したことで視野が広がった」と手応えを掴んでいるという。 「従来は時間や予算内で行ける場所で考えていたのが、Withコロナになったことで物理的に行きづらい国にも興味を持つユーザーが増えました。普段なかなか行けない場所でも、オンラインなら気軽に行ける。さらに、旅行商品をあらかじめ用意していないので、ユーザーの要望に沿ってカスタマイズできる。このようなことから、前年比と比べてオンラインの利用件数が2倍になりました」  今後の展望については「旅行業界以外にもサービスを広げていきたい」とし、次のように抱負を述べた。 「リアルで会うことが制限される中、オンラインにシフトしたことで、サービスを旅行だけでなく、レジャー産業全体に広げられるきっかけになった。今後は色々な業界に対してオンラインサービスを提供していきたいですね。直近では、学童保育の子ども達に向けたオンライン旅行を提供していて、非常に好評を得ています。世界175カ国2,500都市に、5万人以上の海外在住日本人がロコとして登録しているので、彼ら彼女らの持っているスキルや知見を生かしたサービス展開を目指したい」  オンライン旅行で、まだ見ぬ海外の国へとバーチャルトリップしてみてはいかがだろうか。  現地へ足を運ぶことはできないが、行きたい海外旅行先の雰囲気や情報を知っておくだけでも、コロナが収束した後の旅行計画に役立つかもしれない。 <取材・文/古田島大介>
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている。
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