バンコクは空港や市中に両替所が多いので現金持参でも問題はないが。いずれにしても空港はレートが悪いのでおすすめしない
コロナ禍で世界中の人々の動きが縮小され、実質的にロックダウンしている国もある。土地柄か、国民性か、東南アジアは特に強硬策に出て、今年3月ごろから外国人入国を制限している国ばかりだ。
筆者はタイ在住で、3月にベトナムに出かけた。フライト前日から欧州からの入国をベトナム政府が禁じ、自分もベトナムに入れないのではないかと懸念したが、ギリギリセーフだった。ところが数日後、タイ政府が実質的に外国人入国を制限し始めた。しかも、筆者の帰国日の翌日実施。そして帰国当日にベトナム発格安航空会社はすべてのフライトをキャンセル。
危うく帰国できなくなりそうだったが、その日最終のタイ航空に乗ることができて、滑り込むことができた。
このときにタイに戻れなかったら、場合によっては半年が経とうとしている今現在もベトナム国内に留まっていたかもしれない。実際、タイやベトナムには自国に帰ることができなくなった外国人が多数いる。楽しい短期旅行のはずが、長期に渡って家族と離ればなれになってしまったケースも多いという。
そんな外国人のため、たとえばタイ政府は非常事態宣言が発令された3月26日以降に滞在期限を迎える外国人は、無条件・無手続きで9月26日までその期限を延長した(*執筆時)。期限は何度か延長され、執筆時には非常事態宣言停止も9月末まで延長されたので、ビザ関係で問題を抱える外国人は滞在期限の再延長の可能性を見守っているところだ。
筆者はベトナム訪問が何度もあるし、全土的に物価が安いので、ベトナム政府が滞在期限をクリアにしてくれれば長期滞在も悪くはないと思っていた。しかし、現実的な問題として、その費用をどう確保するかが大きなネックになる。ベトナムでは、これまで国内感染者がゼロを何ヶ月も記録し続けていたのに、8月に突如、中部のダナンで感染者が発見され、ベトナム国内初の死者も出している。外国人入国を許容し始めても、突然鎖国になって帰れなくなるということが、今後いろいろな国で起こりうる。そんなときに滞在資金をどう確保すればいいのだろうか。手っ取り早いのはクレジットカードではないだろうか。
クレジットカード保有者の多くがVISAやマスターカードなどの国際ブランドを利用している。近年は日本国内で強いJCBも海外で幅広く使えるようになり、基本的にどのクレジットカードも海外利用に問題はない。特にショッピング利用は日本国内と同じ感覚なので、ためらいなく使える。
一方、キャッシングとなると途端に躊躇する人が増える。キャッシングはカード会社によって幅があるが、年率15~20%ほど利息がかかる。この「利息」が借金のイメージになってしまって使いづらい。
ところが、最近は海外慣れした人の中にはむしろ現地通貨調達はキャッシングが有利だと言う人が増えてきた。日本円の現金を両替所や銀行で替えるよりずっと特になるという。そもそも現金両替は元になる外貨現金がないといけない。盗難や紛失のリスクがあるが、クレジットカードにはそれがない。
クレジットカードは多くの人が銀行口座と紐付け、毎月決まった日に引き落とすようにしているだろう。キャッシングの利息は日割りで計算され、支払日までの日数が少ないほど返済額を抑えることができる。カード会社によっては前倒しで支払う繰り上げ返済を受けつける。カード会社に事前連絡が必要だが、なるべく早く返すことで思っているほど利息は取られない。
現金両替の場合、手数料問題だけでなく、時間がかかるという面倒もある
いずれにしても多少手数料が取られるわけだが、現金両替でも現地銀行が手数料を徴収している。たとえばタイでは執筆時の為替レートは0.2980だ。これは1万円を持っていくと2980バーツになるという意味。しかし、バンコク銀行で実際に両替する場合、1万円で2922バーツにしかならない。1万円で58バーツの差、つまり200円近くの手数料がかかっている。大体2%というイメージだろう。
年率を18%として計算すると、日割りは約0.05%。30日後に返済したとすると、単純計算で1.5%ということになるので、現金両替より得ということになる。さらに、ATMの操作であることをするとさらに好都合なレートで両替が可能になる。